『今日はクリスマスイブ!この後の気温はー...』
テレビから流れてくる音声で顔を上げる。
"ああ、そうか"そう意味を込めて鼻で笑う。
今日、世はクリスマスイブらしい。
いつものように1人で朝食を食べ、1人で1日を過ごすのだろう私には割と関係無いイベントだ。
休日明けて会う友人にプレゼントでも用意しておけば良かった
心の中で思いながら先日祖母から送られてきた高そうな苺を摘んだ。
「あ、うまそ〜」
「ヒッ!?」
突然背後から聞こえた声に驚いて体が飛び上がる。
バッと声のした方を振り向くとチャラい幼馴染みが私を後ろから抱き締めようと言わんばかりの近さの距離にいた。驚いた私にいつも通りの声でおはよ♪なんて話しかけてきて案の定ぎゅうっと少し強めに抱き締められた。
つい最近付き合い始めた為、今までのように嫌がる事もしなくて良いのと私の自宅という安心感で、そのまま彼の腕を控えめに握る。私服も下ろした髪も見慣れてはいるものの、彼氏として見る幼馴染はどうもかっこよすぎて顔が熱くなる。
「菜摘いい匂いがする...俺にもちょーだい♪」
「苺をーってそんな雰囲気じゃないですね!?ちょ、祐待って...」
「俺その顔大好き」
「ぁ...」
彼の顔が近付いてきて優しく触れる。
完全に彼のペースな事がちょっと悔しいけれど、馬鹿みたいに優しく、すぐに壊れる宝物のように触れてくるから黙って受け入れた。
「っはぁ...祐...」
「あーまってそんな顔されると止まんなくなる」
彼に苺の香りが移った頃、唇を離して名前を呼ぶ。
真っ赤であろう顔とドキドキと動く心臓をどうにか落ち着かせようとしていると、祐は はーっと細く長く息を吐き、切ない顔をして私をソファーに押し倒した。息が熱い、少し震えているのがわかる。
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