キーンコーンカーンコーン...
授業終了のチャイムが鳴り、挨拶をした後
教室内が一気にお昼休みモードに変わる。
購買行こうぜ〜なんて声や机を動かす音が聞こえてくる。
私もなんだか甘い物が飲みたくて、友達に声を掛け鞄ごと持ち席を立つ。と。隣から熱い視線を感じた。視線を感じる方を見ると、少し地味目な男子生徒、隣の席の長谷川康太がこちらを見つめていた。
「...どうかした?」
「あ、ごめん何でもない」
ははっと軽く笑う長谷川くん。
真面目で地味な人だと思ってたけど、笑顔はとても優しくてキラキラしてた。ちょっと、拍子抜け。
彼は私と同じように鞄を持ち、立ち上がる。
「藤咲さんもどこか行くの?」
「あー、なんか甘い物飲みたくなっちゃって」
「それ分かる!時々飲みたくなるよね。いちごみるくとか...」
「そうそう。私苺好き」
「良く苺味の飴持ってるもんね。たまに隣からチラッと見えるんだ」
今まで合わないかと思っていたけれど、喋ってみると彼は人懐こいみたいで意外と話が盛り上がる。そのまま彼と会話しながら教室を出ると、長谷川くんと逆隣の方から手首をガシッと掴まれた。
「ひゃ!」
驚いて掴まれた腕の方を見ると、見慣れた幼馴染が無表情で立って私の手首を掴んでいた。長谷川くんは私の驚いた顔と手首を掴んでいる男を見てニッと笑う。
「俊介ありがと!」
「おー。ジュース忘れんなよ」
その会話を聞いて、先程長谷川くんが私に話し掛けてきた目的を理解する。やられた、と溜息を吐くとそのまま俊介に担ぎ上げられた。うわぁ、目立つ目立つ!
「しゅしゅ、パンツ見える!!」
「あ?スカート抑えてやってっから。つかお前軽過ぎ。ちゃんと食ってんの?」
「体育会系と一緒にすんな」
そのまま足を進める彼。降ろせ〜としゅしゅの背中をぽんぽん叩いていると、隣を歩いていた長谷川くんが「ちょっと強引でごめんね。興味あるんだ、藤咲さんに」と悪戯っ子のような笑みを浮かべた。
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