「菜摘が可愛い」


学校の昼休み。
いつも通り学食を食べにしゅしゅと康太と食堂に来ていたときに俺たちの斜め前に座っていた女子達を見てふ、と思った事を口にした。

2人の反応を見る。康太は凄い顔芸を見せ、俊介は惚気なら後にしろと昼飯を食べ続けていた。


「祐も惚気たりするんだ...」

「最近コイツ、菜摘一筋になったから」

「へ、祐が!?」


俺を置いてどんどん話が進んでる。2人とも冷た〜い!
昼飯の唐揚げに齧り付き、もぐもぐ咀嚼していると斜め前に座っていた彼女と目が合った。ちょっとだけ照れた顔をする彼女にきゅーと胸が締め付けられる。


「ちょっとー...目ぇ合っただけなのに可愛過ぎなんですけど」

「呼んで一緒に食べれば良いのに」

「あーそれね、まだ嫌がんの」


はは、と笑い茶碗を手に取る。
最近やっと名前呼びに戻った彼女にあまり無理はさせたくなくて、学校ではこうして別々に生活している。まあ偶に、朝と放課後は一緒に登校するようになったんだけど、まだ付き合っているわけではないし。


「...祐って強引なイメージあった」

「なにそれ〜俺大事なコには特別優しいんだぜ?」


そう言いつつ、名前で呼ぶよう言った時の事を思い出す。あのときは強引に色んな事したけど、今はちゃんと意識されるようになってるし結果オーライって事で。特別な子には優しいのは間違ってないし。


「祐」


ぽん、と肩を叩かれる。
なになに〜なんて肩を叩いた張本人、康太の方を見るとほら、アレ。≠ニ先程まで話していた彼女が座っていた方向を指指していた。目で指先を辿ってみると、立ち上がる彼女と彼女の友達の姿。


「もう行くのかぁ」


可愛い彼女が教室に帰るのを少しがっかりしていると立ち上がり椅子を戻す彼女とまた目が合った。小さく手を振ってまたな、合図すると彼女は可愛らしく微笑んでから俺たちに背を向けた。



「...やべ///」

「お前本当にアイツに弱いな」

「うわー顔真っ赤!」

「もー、ホンットにツボ!」

「(というか2人とも藤咲さんと知り合い...?)」





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