2年生に進級し、新たなクラスになり、新たな出会いを経て1学期を過ごした。1年の頃には考えられない程濃い2年生の始まり。色々あったが乗り越えていくうちに1学期がそして夏休みがあっという間に終わり、そして2学期。
私達、聖川高校の2年生は今日から修学旅行です。
「菜摘ー!」
夏の暑さもようやく落ち着き涼しくなり過ごしやすくなった。暦通り秋の気配を感じさせる空気に、胸を躍らせる。桜が満開になる春と紅葉で山が真っ赤に染まる秋は私の好きな季節だ。更に秋になり学校側からも指示が出て夏服から冬服へと衣替えをした。久々に腕を通したブレザーに、これまた心が弾む。
修学旅行用に用意した鞄を転がしつつ友人に手を振っていると突然鞄が軽くなった。驚いて後ろを振り返るとすぐ側に長身の男が1人。
「俊介」
「はよ」
幼馴染である吉野俊介が私の鞄を奪い取り引いてくれていた。そして俊介の少し後ろの方には何やら盛り上がっているもう1人の幼馴染と同じクラスの長谷川康太くん。俊介は鞄を転がしている私を見て手伝いに来てくれたらしい、ぶっきらぼうで口下手なのに優男だ。
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