「ぃってて...」


その場に座り込み、痛む右足首を軽く押さえた。立ち上がろうとしたが捻った足首がズキンと痛み、また崩れるように座り込んでしまう。...油断した。

最近は被害が無く普通に生活出来ていたから平和ボケして忘れていたけれど、私は彼らの幼馴染で彼等と近しい存在でそれ故に敵も多い人間である。



ーーーあのときと同じ放課後。呼び出しの後に起こった出来事。

中学生の頃の記憶がじわじわと甦る。
あのとき出来た傷は綺麗に無くなったけれど頭にはしっかりとこびりついているあの恐怖。それと同時に思い出す、当時付き合っていた優しい彼。彼には凄く申し訳ないことをした。


「...」

幸いにも今回は外にある段差の少ない階段で勢いよくゴロゴロと転がることも全身を強打することもなく、ただ足を捻るだけで済んだ。ただ生憎、携帯は教室だし放課後になったばかりだがこの場所は校門側ではなく裏道で人通りも少ない。帰宅する生徒は全て表の方を通るから今は私以外この場所には誰も居なかった。

「困った」

中学生の頃は俊介がたまたま通りかかって助けてくれたけどそんな毎回運良く助けてくれるとは限らないし...

足がズキン、ズキンと鼓動のように痛むのと同時に背中を押してきた手の感触がじわじわ襲ってくる。ああ、なんだか気持ち悪くなってきたーーーーー


「菜摘?」



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