「じゃね〜ん」


俺の口から奪い返した飴を躊躇いもなくそのまま口に含んで、手を振り立ち去る幼馴染の背中を見つめる。俺は間接キス、とかちょっと動揺したのに彼女に変化は無かった。


「...躊躇い無しかよ」


小さく呟いた言葉に隣にいたしゅしゅが鼻で笑った。脹脛辺りを軽く蹴ってやる。

数年前まで祐くん、と可愛らしい笑顔を見せ俺としゅしゅと過ごす事が多かった女の子。高校生になり、すっかり大人びて色気付いた彼女はいつのまにか俺らから線を引くようになっていた。...妹と同じように。


「メロちゃんっていうより、クロミちゃんだよな〜」

「ん?」


マイメロ好きの癖に。と苦笑しつつ言うと、しゅしゅが小さな声で「外っ面だけだとな」と呟いた。俺が彼女の内面の事を知らないと言っているみたいに。

どうやらしゅしゅより俺の方が壁は厚いらしい。その事実に結構凹んでいる自分がいた。


「(なんで俺だけ...)」

「今日の放課後、聞いてやるから」


しょぼくれた俺に気付いて、しゅしゅがフォロー入れてくる。きっとアイツはしゅしゅには色んな事話してるんだろうな、とまた悲しくなったが優しい幼馴染を頼る事にした。


「...頼むわ」


このまま壁張られるのも辛い。







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