グランプリファイナルでメダルを獲るとそれだけ世界からも注目されるようになる。私達選手はトップに立つことを目的としているが、それ以外にもこの競技を知ってもらいたい、もっとファンが増えてほしい、等個人で色々思う事があるだろう。
ジュニアのときに生きる伝説に目をつけられた私は、幼い頃からヴィクトル・ニキフォロフの隣にいるスケーターとして他の選手より少し話題に上がる事が多く、更にシニアデビュー戦で4回転を跳び圧倒的な差をつけた事で生きる伝説ばりに注目されるようになった。その為、今回のスキャンダルでも別に噂されるのは慣れっこだったのだが...
『ユーラチカに色目使ってんじゃねーよ』
『ババアが調子乗ってんな』
『ヴィクトルの次はユーリですか?』
『ビッチじゃん』
今回はジュニア時代からの過激なファンがいて、私と年も近いユーリが相手ということで、誹謗中傷がSNSのコメント欄に溢れていた。ヴィクトルのときもそうだったが、相手が無駄に美形だと周りの当たりが凄い。
「うわぁ...何これ」
あまりの酷さに側にいたミラでもドン引きしているようだ。肩を竦めてアプリを閉じる。
「確かにユーリに比べたらババアだわ」
「17歳でババア!これから先どうなんのよ」
"あっはっはっ"と豪快に笑うミラに釣られて噴き出す。批判され慣れてしまい、普段気にしない私でもある事ない事言われて、少し落ち込んでいたらしい。肩に入っていた力が抜けた。幸いにもSNSを更新する頻度は少ないし、刺激しなければ常に攻撃はされないだろう。
「落ち着いたら記事書いた奴ぶっ飛ばす」
「ミラらしいや」
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