「ねぇねぇ、何かレイラ変わったよね?」

「うん!大人っぽくなったっていうか...吹っ切れた感じ?」

スペイン・バルセロナ
今日はグランプリファイナル直前の公式練習日。
昨夜ホテルのチェックインをした後から調子がおかしいリンクメイトの姿を見ていないことに気付き、自身の調整が終わった後、観光の前に少しリンクに残って練習を女子が滑っているのを見学していた。

リンクの外で最終調整をしている他の奴らを見ていると、隅の方で群がっていた女子達の話している声が聞こえてきた。話に釣られて今話題に上がっていた彼女を見る。丁度、トリプルアクセルを決めて嬉しそうに笑顔を浮かべているところだった。

レイラ・ヴォリスカヤ
2つ歳上のリンクメイト。
俺がここに来て初めて綺麗だと思った女。
そして、ヴィクトル・ニキフォロフのお気に入りで【癪だが】奴の隣に立てる女だ。

さっき話していた通り、彼女はロシア大会の少し前から何かが変わった。大会の直前で最低まで調子が落ちていたようだが、ロシア大会が終わった後は何かが吹っ切れたようで今楽しそうに、でもいつもより真剣に滑っている。相変わらず美しさは健在だが...何か変な感じがする。

「ロシア大会のあと、元彼振ったらしいわよ」

しばらく彼女を見つめていると、背後から声が聞こえた。と思ったら突然頭が重くなる。力を入れて頭を動かすとミラが右腕を上に乗せのしかかっていた。

「近ぇよババア!つか重い!」

「元彼に"友達でもいいから"って言われたのをばっさり切ったって。スッキリした顔してるけどあの子、エキシビション変更したのよ」

「は?」

「"フィリア"に変えるなんて、優しいわ」

ムスッとした表情を浮かべながら呟くように吐き出された言葉に驚いた。フィリアーーーーつまり、友愛。彼女はきっとその元彼とやらにメッセージを贈るのだろう。...考えただけで腹が立つ。

「...チッ」

「さっさとレイラ捕まえなさいよね」

「はっ、はぁ!?馬鹿じゃねぇの!?つか何でババアに言われなきゃなんねぇんだよ!」

簡単に出来るのであれば既にやっている、そう言おうとしてリンクから誰かが出てくる気配に気付いた。パッと振り向くと調整を終わらせたらしいレイラと目が合う。

「相変わらず、仲が良いね2人」

ニッコリ、笑顔を向けられて何も言えなくなった。


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