【熱愛!?ユーリ・プリセツキーレイラ・ヴォリスカヤ 昼下がりの密会!】
ーー某日、アイススケート選手のユーリ・プリセツキーとレイラ・ヴォリスカヤが仲良くランチやショッピングをしている姿を目撃。暫くショッピングを楽しんだ後、2人はあるホテルへと入っていった...。
「って何なのよコレー!」
バン!
机の上に開かれたゴシップ誌を見てレイラが両手で机を思いっきり叩き立ち上がる。そこまで力を入れられるとこちらにもある程度の衝撃が来る、少し落ち着いてほしい。...まあしかし、そうなる気持ちは凄くわかる。座れと目で訴えると彼女は素直に椅子に腰掛けた。
「...あれ以来ね」
「ああ、こんなに大きくなるとはな」
この間のイベントで俺が彼女を誘い、ペアでサプライズとして出演したのをきっかけに俺たちに対するファンの反応が変わった。スキャンダルを狙ってくる記者も少なくはない。ただ、証拠を掴めず今まで曖昧になっていたのだが...こんな強引な手を使ってくるとは。
「...失敗だったか」
小さく呟いた言葉を彼女は聞き逃さなかったらしい。直ぐに目を鋭くしてその整った顔を俺に向けた。ミラが"可愛い顔が台無し"と良くコイツに言っているのはこういう事だろうか、美しい人形のような顔が歪むと一般人よりも数倍迫力がある。
「失敗なんて言わないで。確かにスキャンダルを狙ってくるのは多くなったけど、あのとき会場は凄く盛り上がったし私だってアンタと滑る事が出来て楽しかった」
"あの時の気持ちを無下にしないで"
そう言って彼女は立ち上がり早足で部屋を出て行く。
「あ、オイ...「ちょっとヤコフ!ヤコーフ!!!あのくだらない記事なんて放っておいて普段通り、ユーリと生活しても良いわよね!?」
...今までああやってぶつかっていく姿は見た事が無かったが、ミラの言う通り揉め慣れている。それに突き進む姿がなんだか真っ直ぐな彼女らしかった。
「レイラ、お前少しは動揺しろ!スキャンダルだぞ!?」
「はぁ!?何であんなクソみたいな記事で動揺しなきゃいけないのよ!」
「クソ...っ!?」
少し遠くの方でレイラとコーチのヤコフが言い争っている声が聞こえる。俺も話し合いに参加すべきかと思い立ち上がったとき、彼女が発した言葉に俺はその場で固まった。
「ていうか別に私ユーリとのスキャンダル嫌じゃないし!」
顔に熱が集まるのを感じる。
アイツ、自分が何を言ったのかわかっているのだろうか。3歳差で年下な俺がどうにか男として見て貰おうと頑張ってアプローチしてもそれに気付かずにガキ扱いしてくる奴が...こんな。
ーーー天然なのか?計算?逆に嫌がらせか?
心底、厄介な奴を好きになってしまったと思う。
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