練習の合間の休憩中。
私が出ない大会を思い出し、とりあえず誰か更新しているだろうと久々にSNSを開く。案の定、オフの写真や現地の写真がタイムライン上に沢山出てくる。スクロールしていくと付けられたハッシュタグに触れてしまい、タイムラインとは違うページに飛んでまた写真がたくさん出てくる。その中に現れた、ある1枚の写真を見て目を細めた。
「ねえユーリ」
丁度目の前で水分補給をしているリンクメイトに声を掛ける。彼はストローを咥えたままパッと昼食らしいものから顔を上げた。その顔の美しい顔たるや...
「なんだよ」
折角美しい顔をしているのに、その声はどこか不機嫌そうで顔は少し歪んでいる。ロシアンヤンキーと言われる彼らしいと言えばらしいが、声を掛けただけなのにそこまで凄まなくても良いと思う。
「...アンタってそうよね」
携帯の画面に表示された彼のスケート姿と目の前の眉間に皺を寄せた彼とを見比べる。写真の彼はこの間のSPの衣装をきて、天使のような姿で氷の上を自由に滑っていた。タグにマジアガペーと付いている...。ファンからもこう言われるほど彼のこの姿は美しい。
「は?」
「アガペーの写真が出てきたの。」
「...ああ、アレな」
シニアデビューでこんな良い成績を残すとは大したものだ。彼がモスクワからリンクを移してきて初めてこのリンクで会ったときの事を思い出す。あの頃は凄く生意気に見えて"なんだこのチビ"と思っていたっけ...懐かしい。まあ、彼はがむしゃらに頑張っていただけなのだけれど。
「5年前」
「うん?」
「5年前、ここで初めてお前見たとき、綺麗だと思った」
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