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「ありがとうございました」

「いえ、じゃあお気を付けて」

お金を払い、タクシーから降りて運転手さんが出してくれた荷物を受け取る。久々に話す言葉に少し緊張したが母から教わった言語はしっかりと身についているようで、この外見で違和感なく日本語を話されたことに運転手さんは驚いた様子を見せていた。車内では色々と説明ありがとう、運転手さん。優しい方で良かった。


「さて、」

早朝、ヴィクトルから電話がかかって来た後、私は少し仮眠を取ってからヤコフに連絡した。ヤコフも早朝にヴィクトルから電話されたらしく用件は知っており、ユーリも行っているしオフに入ってる事からすんなり日本行きのお許しをもらった。...ヴィクトルの早朝コールには怒っていたけれど。

それから急いで飛行機の手配をし、日本に無事到着。あとは長谷津まで行けばヴィクトルが迎えに行くと言っていたからここまで来たが...長谷津の何処に行けばいいのだろうか。スマホを取り出し画面にタッチすると待ち受けと一緒に時間が表示される。ロシアを出発してもう15時間以上...流石に早く休みたい。


「レイラ!」

「...あ」

キャリーケースに座り、ヴィクトルに電話しようとしたところで顔をかけられた。顔を上げると少し離れたところで手を上げるコートを着た長身の青年。街灯で照らされた銀髪がキラキラ光る。

「ヴィクトル」

「お疲れ様、会いたかったよ」

軽く抱き締められて彼の匂いが鼻腔をくすぐる。いつもの匂いと温泉の匂いと...少しお酒の匂い?すん、と鼻を鳴らすとヴィクトルが少しだけ体を離してから笑った。

「匂い、する?」

「お酒の匂い。飲んでるの?」

「少しね。大人組は盛り上がってるよ」



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