「ッ!」

ユーリにこんな風に触れられたことがあっただろうか。嬉しさと恥ずかしさとよくわからないものが込み上げてきて頬が更に熱くなる。震える唇を隠したくてジャージの袖で口元を押さえた。もっと触って欲しいと思ったなんて口が裂けても言えない。

「何で隠すんだよ」

「ーーっ、恥ずかしい!」

近づいて顔を覗き込んで来ようとするユーリの胸元を片手で押して顔を見られないように伏せ気味に横を向く。助けを求めてミラを探したけれど、彼女は私を見てニヤついたかと思うとさっと離れてサーラとヴィクトル達と一緒に来たらしいサーラのお兄さん達の元へ話しに行ってしまった。ヴィクトルも勇利と話しているし、ここにはユーリと私しかいない。

「もう、こんな酷い顔ユーリには見せたくなかったのに...」

「はぁ?どこが酷い顔だよ。美人が泣いても美人なのは変わんねぇんだよ、覚えとけ」

「なにそれ」

気持ち良く吐かれた言葉に堪えきれずフフ、笑いながら顔を上げる。穏やかな顔をしたユーリと目があった。前髪で片方の目が隠れているのが勿体ない、胸元に当てていた手を彼の前髪に伸ばす。緑がかった目が伏せられて長い睫毛が彼の顔に影をつくった。...なんて美しいんだろう、目の前に天使がいるようだ。

「...これ」

彼の美しさに見惚れていると彼は小さな声で呟いて私のジャージのファスナーを胸の下辺りまで下げた。ユーリの指が私の鎖骨の辺りを滑る。首元で小さくシャラっと音を立てた銀色のチェーンがユーリに持ち上げられる。

「今朝、彼氏からのプレゼントかって騒がれちゃった」

「だろうな」

「...ユーリって、他の子にもこうやってプレゼント贈るの?」

私が自惚れているだけだろうか。
彼は好きでもない子にプレゼントを贈る人では無いと勝手に思っているが、彼の女関係や恋愛関係については全く触れたことが無いから、どうなのかわからない。恐る恐る聞いてみるとちょっとだけ頬を紅くしたユーリが一瞬目を丸くし、そして照れたようにぷいっと横を向いて小さく私だけに聞こえるように囁いた。

「んなわけねーだろ」


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