今日はいつもより不機嫌だ。
溜息を1つ吐いて怠い体を動かす。足が重い。
副隊長である松本乱菊が仕事を溜め込んでしまって我らが十番隊隊長サマが激おこ。お説教後、2人で書類を片付けるからと私に使いを頼んできた。隊長の頼みなら仕方ないと思うけれど...この書類は。

目的である五番隊隊舎と三番隊隊舎まで歩いているとすれ違う下級の死神たちに頭を下げられる。いやいや、私所詮三席だし。それに、こういうの苦手なんだよなぁ...なんて山爺の前で言ったら拳骨されるから絶対言わない。

色んな死神に会うのも面倒だし、瞬歩でさっさと行くか。そう思い足に力を入れたところで後ろから腹に腕が巻きついた。


「!?」

「あァ、珍し」


後ろにズッコケそうになったが、後ろにいた人物が支えてくれてその人の胸元に頭からダイブする。腹にある腕の主は心底驚いたような顔をして私を見下げていた。


「どしたん、春?」

「ギン...ごめん、苛ついてた」


はぁ、一発大きく息を吐いてから彼の腕に擦り寄る。仕事中だけど少しでいいから甘やかして癒して貰いたい。


「らしくないなァ。...おいで」


察した彼が私をしっかり引き寄せた。
そのまま瞬歩で隊舎の屋根に登る。
ギンは私を抱きかかえつつ、私が持っていた書類をいつのまにか奪って読んでいた。そのまま私が酔わないよう変に力が入らないように瞬歩で隊舎を進んでいくから凄い。意外と人よりも気遣い出来る男だ。


「真央霊術院の見学ねぇ」

「ギン、五番隊の副隊長のとき行ってたね」


そういえば、昔の事を思い出す。
私がまだ四番隊で卯ノ花隊長と山爺から厳しく指導されていた頃。何故四番隊の三席が、と私が噂されていた一方でギンは五番隊の副隊長として活動していた。当時、藍染隊長とギンが真央霊術院に見学に行くという話が出ていたときも同じような書類を見た気がする。

懐かしいなと呟くギンの首に腕を回して身を委ね、一緒に書類を覗き込むとやっぱり見間違いではない名前。


「で、ボクと行くんが嫌?」

「絶対ギン、モテるじゃん」


真央霊術院 見学者候補

三番隊隊長 市丸ギン
十番隊第三席 風ノ間春

以上二名。


今回は何故かギンと私の名前が記されていた。




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