グオォォォォ...
『流魂街 東方面に虚反応!死神は直ちに出動せよ!』
大きな唸り声と共に嫌な気配を感じた。
その数秒後に地獄蝶から音声が流れてきて瀞霊廷にあったいくつかの霊圧が東の方向へと消えていく。出現した気配からして、1体...。
虚1体であれば私よりも下の死神達でも大丈夫か、と監視に回ることにした。屋根の上に登り、斬魄刀"黒姫"の能力で虚が出現したとされる東の方を見つめる。そこにはやはり数人、死神が集まっていた。
「...?」
そこで何か違和感を感じる。
虚の霊圧が何かおかしい。
黒姫に手を掛けながら死神達の様子を見ていると隣にストン、よく知った霊圧。
「あの虚、何や変やねぇ」
「こんなところに来て良いんですか?...市丸隊長」
「見学や、見学」
「見学って...この距離からじゃ霊圧しか分からないでしょう?」
私は黒姫を通して見ているからこの距離でもある程度姿形や状況は見えているけれど、ギンはこの距離で状況を全て把握するのはなかなか難しいだろう。
首を捻っていると死覇装の襟元を引っ張られて鼻がぶつかるくらいの距離まで顔を近づけられた。
「春がボクの目ぇやろ」
「...乱暴」
ギンの目力に負けじと睨みつけるように彼の目を見つめ、小さく囁く。彼はクッと喉を鳴らしてから自身の腰元に手を当てた。隊長羽織に隠れているがその位置にはいつも彼の斬魄刀がある。斬魄刀の柄がチラリ視界に入ったとき、虚の霊圧が急激に変わった。
「春、気ぃ付けて乗り」
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