慣れたように部屋に入っていく隊長に続いて私は一度頭を下げてから足を踏み入れる。十番隊の隊首室はいつも綺麗に整頓されている。三番隊とは違い明るく感じるのは三番隊が絶望と共に生きているからだろうか。

そういえば、普段あんなに騒がしい十番隊なのに今日は副隊長である乱菊さんの姿が見えない。他の死神の気配も感じられないような...?


「大事な話だ、人払いをしてある」


私の疑問を見透かしたように答えた彼はまた眉間に皺を寄せて自身の卓に着く。そして私に1枚紙を手渡した。受け取って目を通す。


十番隊第三席 風ノ間春
市丸ギンと親密な関係であったが故
今後裏切り行為と思われる行動をした時点で捕縛。
但し条件によっては上記を取り下げる。


「なんですか、これ...」

「お前が敵か味方か判断したいんだと」

「いや、馬鹿なの」

「...だろうな。だが、それだけじゃ足りないらしい」


この人は私の状態を見ていたから大方察しているのだろう。ため息混じりに吐かれた言葉に持っていた紙をぐしゃぐしゃに握り潰したくなる。私が敵側であればギンに置いて行かれる筈が無い。私の斬魄刀の能力は彼らにとって役に立つだろうし、敵側に回れば厄介な力だとギンは知っている筈。というか山爺も卯ノ花さんも知っているだろうし気付いている筈。私に何をさせたいのだろうか。


「俺が聞いた条件は二つ。先ず、破面襲来時に備えて、破面討伐隊が現世に派遣される事になった。俺も現場指揮官として派遣される。それの補佐をする事」

「は?」

「そしてもう一つは、三番隊の隊長になる事」

「はぁぁあああああ!?」





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