「風ノ間!!」

「はいいぃいい!?」


突然風呂場の戸の向こうから日番谷隊長に大声で名前を呼ばれる。戯れていた神鎗に戻るよう促し、完全に気配が消えたところで落ち着いて隊長が寄りかかっているであろう風呂場の戸の方に話し掛けた。


「...何でしょうか」

「お前に話がある。済んだら俺の所まで来い」

「はい」


話とは、何だろうか。
休暇で考えた事は無理に聞かないと言ってくれたが、やはり先程の事はマズかっただろうか。それとも瞬歩でバタバタ移動し過ぎたか?

隊長の気配が無くなった所で、湯船から上がり用意していた手拭いで身体を拭く。新しい死覇装に着替えて髪は久し振りに纏めて緩く団子にする事にした。先程腫れていた目は少しはマシになったみたいだ。


「よし」


脱衣所の水滴を拭った後、風呂場を後にする。
戸を開いて隊長の元へ向かおうとすると直ぐ隣の壁に寄りかかって書類に目を通していた隊長と目が合った。いつもより眉間の皺が三割増しだ。


「...日番谷隊長」

「おう、少しはマシな顔になったな」


私の顔を見て穏やかな顔をする。
最初は厳しい隊長だと思っていたけれど、十番隊に来てから私を見て彼の表情が緩むのを何度も見るようになった。敵対している市丸ギンと恋仲であっても、不器用ながらに大事にしてくれていてなんだかくすぐったい。

隊長は自身の顎をクイッと動かすと踵を返して隊舎へと歩みを進める。私はその背中を追いかけた。




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