「よし」
彼女の死覇装を整えてから小さく呟くと彼女は僕の死覇装の袖をきゅっと握った。何かあったのだろうか。頭を撫でつつ"どうした?"優しく問い掛ける。彼女は頬を赤らめながら小さな声で控え目に言った。
「...可愛い?」
...あー。何やこの可愛い生き物。
これ以上は止めておこうと彼女の死覇装を整えて手を出すのを我慢していたのに。自分を必死で抑えてから口を開く。が、やはり本音は出て来る。
「夜覚悟しい」
「え?」
「いつも通り、可愛えよ」
ポカンとした表情を浮かべた彼女に優しく囁くと嬉しそうに笑った。やっぱりこの子には笑顔が似合う。
満足したらしい彼女。ぴょん、腰掛けていた机から軽やかに降りたのを横目に自分は軽く息を吐いて表情をいつものように戻そうとする。"ちょっと待って"両手で頬を覆われて止められた。
「春?」
「ギン、態と?」
「...何が?」
少しばかり、心当たりがある。
薄々勘付いていたがその事だろうか。
しかしこれは僕が予想していなかった事態だ。
「ギンの霊圧、私に少しずつ移ってきてる」
「春チャンがボクのモノって丸わかりやなあ」
あまり深刻にさせないよう、軽く冗談交じりに返す。彼女がそういう事じゃないと溜息を吐いて僕の斬魄刀に触れた。
「あれ、それでそっちの隊長はんに文句言われたんとちゃうん?ボクの事嫌いやろ、あの人」
「確かに日番谷隊長はギンのこと嫌ってるみたいだけど...そうじゃなくて。昨日、神鎗が遊びに来たよ」
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