しばらく抱き締め合った後、どちらからともなく腕を緩めた。机に組み敷いていた彼女を抱え起こし、 座らせる。こうして僕の部屋で会うのは何回目になるだろうか、なんて呑気に考えていると彼女が小さく口を開いた。


「こういう関係になったときの事覚えてる?」

「...愚問やねぇ」


覚えてるに決まってる。僕から仕掛けた事や。


あの日...彼女がまだ三番隊にいた頃。
夜中、急に虚が現れ彼女の実力を見る為にも.と彼女とイヅルを向かわせた。四番隊に所属しとった頃から仲良しみたいやしなぁ、と一応彼女に配慮して2人にしてみたが、それだけじゃないと気付いたのはその任務が終わってからだった。

任務を終えて戻ってきた2人が談笑しているところに、いつものように笑顔を浮かべて“おつかれさん”と声を掛けようと近付いたとき「ちょっとごめん」とイヅルが会話を途切れさせ、ひょっこり現れた女死神の方へ行った。そのイヅルの行動と楽しそうに幸せそうに話す姿を見て、彼女は一瞬絶望の顔を見せ、それから何かに耐えるようにこちらに振り返った。

すぐに分かった。この子はイヅルが好きなんや、と。

市丸、隊長...なんて驚いて言葉を詰まらせた彼女だったが、すぐに笑顔になって任務を遂行した報告をしてきた。それを見て複雑な気持ちになって...自分となんだか重なってしまって、彼女の腕を引いたのだった。





「...見てられんくて十番隊に行け、て言うたんや」

「ごめん、ギン」

「別にええよ?こないな関係になってるわけやし」


ニコリ、いつもの笑みを浮かべて彼女の襟元を整える。照れた顔をしつつ、服を正されるのを大人しく受け入れる彼女が愛おしくてクク、と声が漏れた。




×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -