その日は雨が降っていた。
どんよりした空に稲光が見える。
これは更に降るだろうな、と予想し友人から様子見を頼まれている彼女の家に向かう。街にある家は殆ど電気が付いているのに彼女の家は真っ暗だった。...何か、胸騒ぎがする。軽くノックをしてからドアノブを回す。部屋の鍵は開いていた。


「ナミ?電気も付けないで何してーーーーー!」

ドアを開くとそこには彼女は居らず、いつも手持ちにしているポケモンのボールがテーブルに置いてあるだけだった。私に気付いたサーナイトが自力でボールから出て不安そうな目でこちらを見る。

「サーナイト...ナミは?」

近付いてサーナイトとテーブルの上にあるボールを見るが、皆不安そうな顔をして首を振る。主人がどこへ行ったかわからないようだった。コールなら通じるかと思い、ポケナビを起動させる。...そういえば、ラグラージとフライゴンはどこにいったのだろう。メタグロスはダイゴから持ち歩くように煩く言われている筈だが。

『...』

ポケナビも反応しない。
電波の届かない場所にいるのか?
ダイゴと違ってこんな雷雨の日に石探しなんて行かないだろうし、手持ちのポケモンを置いていく場所なんてあるだろうか。いつもの彼女らしくない。

ポケナビを閉じ、彼女はいつから居ないのだろうかと部屋を見渡すとドアの方で何か、響くような鳴き声が聞こえた。急いで家のドアを開く。そこには雨の中濡れた彼女と見慣れない...いや、懐かしいポケモンがそこに居た。

彼女の薄赤い目がいつもとは違う鋭さで私を捕らえた。




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