少し前。
ミクリがうちに来て今この地方を脅かそうとしている不穏な気配とトウカシティの新しいジムリーダーについての説明を受けた。この件については薄々感じ取ってはいたし、元々チャンピオンまで辿り着いた私にはある程度今の状況について報告を受けていた。これから協会と繋がりのある者は忙しくなるだろう。

それはルネシティのジムリーダーである彼も同じ事で。説明と共に"しっかり注意するように"口が酸っぱくなる程言われた。耳にタコが出来るんじゃないかと思った。



ーーーーー「僕もいつか駆り出されるだろう。今までのように君を守ってあげられなくなる。それと、多分君の幼馴染はなかなか言い出せないだろうから...。」


あのとき言われた言葉を思い出して、皮肉を込めて軽く鼻で笑った。先日の彼が言った通り今私の目の前には幼馴染がいて、いつもとは違う少し高級な食事をしている。緊張からか、いつもより堅い表情の彼を横目に久々の葡萄酒を煽った。


「ねえ、ダイゴ。」

「なんだい?」

「珍しいね、こんな場所で食事なんて。」


にこり、笑ってみせる。
不自然ではなかっただろうか心配になったが、今の彼には少しの違和感も気付かないだろう。




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