『ナミ』

電話の向こう側から聞こえてきた聴き慣れた懐かしい声が私の不安を一気に取り払ってくれる。

カイオーガとグラードンによる自然災害に巻き込まれた住民を救出しながらジムリーダーたちを裏から手助けし、アクア団マグマ団の残党の後処理を終わらせたときに丁度ポケナビが音を立てた。飛行船の中からか、と画面を確認するともうずっと会っていない幼馴染の名前。

困惑しながらも応答するとしっかりと彼の声が聞こえてきた。


『ナミ、無事か』

「うん...」

顔に当たる雨を拭い、津波の被害を受けていない場所を探す。丁度近くのビルが雨宿り出来そうだ。直ぐにそこに移動し、なみのりをしてくれていたラグラージをボールに戻す。電話の向こうの彼は"む"小さく声を漏らした。

『...まさか、外にいるのか?』

「...ミクリのこと怒らないでね。止められたのを私が強引に出てきたんだから」

『...わかった。が、危険過ぎる。君は早く避難して「ねぇダイゴ、私貴方に秘密にしてた事があるの」


外に出ていると分かったら言われると思った言葉を遮る。この通信がいつ途切れるか分からないし、私の予想が正しければ、彼は今から重要な任務を遂行する筈だ。私も、ここから無事に皆と合流出来るかもわからない。お互い命を落とす前にしっかり言っておかなければ。

「私、青と赤の存在と、貴方と貴方のお父さんがやろうとしてたこと、ずっと前から知ってた。5年前に何があったのかも全部知ってる」

『ナミ...』

「今から貴方が何をやろうとしているのかも予想は出来てるし、だからこそ、貴方だけに命を懸けてほしくなくて、私もこうやって外に出たの。ダイゴが私を危険に巻き込みたくなくて仲間に選ばなかったのは解ってる。でもねダイゴ、貴方、知ってるでしょう?』

「...君が"殿堂入りしている事"を、かい?」

小さく言われた言葉に苦笑する。
やはり私が必死に隠していた事を彼は知っていた。
喉を鳴らすと向こうで"ごめん"という言葉が聞こえた。何故彼が謝るのだろう。ポケナビを持っていた手に力を入れる。

「何でダイゴが謝るの?戦ってる姿を貴方に見られたくなくて隠してたのは私なのに」

『ナミはどんなときでも可愛いから隠さなくてもいい』

「...今から死にに行くのに、会いたくなる言葉言わないで。折角今まで我慢してたのに」

『僕は君に甘いからね』




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