仲間入りと再会
『とっ、徳川先輩の鬼ッ!』
後ろを向いて、声を上げると、
「……鬼は居る。」
冷静につっこまれた。
『あ、そうか。』
「ぶはっ」
奏多先輩が噴き出す。
『ちょ、奏多先輩!』
「ハハッ、早く挨拶しておいで。置いて行っちゃうよ?」
奏多先輩にそう言われて、急いで中学生の方に向き直った。
『……えーっと、みんな久しぶり!立海には後でちゃんと説明するから!だからその皆さんの!特に幸村くんの黒いオーラを止めてください!ついでに周助も!』
もう、怖すぎるよ、この中学生たち。
『改めまして、U−17代表候補合宿にようこそ!────3番コート選手兼、マネージメントコーチの藤咲菜摘です。宜しく!』
私の言葉を聞いた中学生達はざわつきはじめた。
「3、番!?」
「コーチ、だと?」
『それも後から説明するから!』
「あ、そうだ。ちなみに彼女はこの合宿で唯一の女の子。……苛めないであげてね。」
奏多先輩が横から現れて、私の肩を抱く。
「…………チッ」
あれ、今舌打ちしませんでした?幸村くん。
そのニコニコ笑顔に黒さを感じますよ。
「よし、挨拶は済んだよね?やっぱり僕らは先に行ってるから、キミの部長さんと話しておいで。」
奏多先輩はそう言って肩を数回叩くと、手を振って行ってしまった。
『あ、約束が違う!先輩ズルい!』
「ちょ、菜摘、悪ぃんだけど……さ。」
後ろから声がかかった。
この声は、ブン太?
「……幸村くん、どーにかしてくんね?」
『ああ、はい。』
忘れてた。
彼が黒い笑みで私、つか先輩を見ていたこと。
よし、やってやりますよ!菜摘、頑張ってやります!!
くるりと我らが部長の方へ向き、そして──────ダッシュした。
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