仲間入りと再会
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私の予想通り、高校生がズタボロになった頃だった。
そろそろ仕方ないと思い、固く結んでいた口を開いたとき。
『あ「相手の力量も測れず戦うとは浅はかですね。」
優しげな声が私の隣に来た。
それから数人、人の気配。
『…先輩、』
止めようとしたのに、先輩ってば被せて…。
でも、高校生の目線に気付いて私はぱっと声の主、入江奏多先輩の背中に隠れた。
「っ、くそ!中学生共も気に入らねぇが、お前も気に入らねえ。オイそこの女!」
ピクリと肩が反応し、無意識に前にいた入江先輩のジャージを掴んでしまう。
そんな私に気づいたのか、入江先輩はさらに私を後ろに隠し、冷たい目で高校生を睨み付けた。
「この子をいじめるのは僕らが許さない。」
「見苦しいぜ!!もうボールを取れなかった奴等は帰んな!これ以上醜態曝すなよ!!」
入江先輩に続いて、鬼十次郎先輩が声を上げると、
「ア、アニキ………」
そう呟いて高校生たちは帰って行った。
肩の力が抜けていく。
ほっと息を吐くと、入江先輩が私の頭を数回撫でた。
『…奏多先輩?』
「もう大丈夫だからね。」
『……………はい。』
どうやら先輩には私の選手としての扱いが酷かった事を知っていたようで。
嘘はつけないな、と呆れつつ安心している私がいた。
「ええーっみんな帰ってもうた!?待ちぃや、やろーで兄ちゃんら!?」
遠くの方で遠山くんが慌ててるけれど、バレ……るとややこしくなるのでまだそのままでいよう。
「ゴメンね、勝手な試合は本来ここでは厳禁なんだ。」
それから───U−17代表合宿では実力の順に1番から16番までコートが分けられていること。
上に行くためには練習前の入れ替え戦(シャッフル・マッチ)で勝つしかないことを、入江先輩が淡々と説明してくれた。
『(対戦相手を引きずり落とす、それがここのルール。)』
「僕は3番コートの入江!宜しく。」
「5番、鬼!」
2人が自己紹介し終わった後、徳川先輩が赤也に声を掛けられていたけれど、
「帰りたいのか?」
彼はウチの部長と似たようなものがあるから、すぐに赤也は黙っていた。
「練習に戻り───────っと、その前に。」
にこり、笑ってこちらを見た入江先輩。
……も、もしかして?
「コーチから伝言。自己紹介、しておいて下さいだって。」
『!?』
「1週間ずっとここに居たから久々に逢ったんじゃない?挨拶しておいで。」
入江先輩は中学生を見渡しながらそう言った。
『奏多先輩、』
「ほら、行け。」
ドンッ
『っ、』
徳川先輩に背中を押されて前へ出た。
その瞬間、立海のメンツは目を丸くして私の名前を呼んだ。
幸・真・柳生・ジ「「「「藤咲(さん)!?」」」」
柳・仁・丸・赤「「「「菜摘(先輩)!?」」」」
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