23.根付く恨み



「最近多いわね。
アクマの大量発生」

リナリーがダークブーツ(黒い靴)で次々アクマを破壊しながら話しかけてきた。

「すべてレベル1なので手間はないですが
数が多いですね。
この任務だって、内容はアクマレベル1の破壊ですが
数が多い上に各地にその量で点在してるから長期任務みたいになってますもんね」

僕も退魔ノ剣で次々破壊しながら答える。

「一体伯爵は何を考えてるのかしら…」

「分かりません。
消耗戦を挑んできてるのか
はたまた別の狙いがあるのか…
何にせよ、アクマを放ってはおけません」

「そうね。
私達が倒さなきゃ…!」

連携で湧き水のように次々現れるアクマを壊していく。

退魔ノ剣を振り回しながら僕は
教団にいるルシファーへの不安が、頭の角にいつまでも離れないでいた…





















「ルシファーさん」

振り返るとそこには双子がいた。

「…なんですか?」

「オレと兄さんを助けてくれてありがとう。
貴女は命の恩人です」

「何のことでしょう?
人違いでは?」

「え…
ルシファーさんですよね?
ボク達の怪我を治してくれたの。
ドクターとの話し声が聞こえた気がしたんですが…」

「ああ、お手伝いはしましたね。
けれど治したのはドクターです」

「でも、アレンが…」

「彼の勘違いでしょう。
どうしても気になるならカルテを見てみては?
カルテは治療した者しか書けません」

大半の治療は私がしたとはいえ、自然治癒中はドクターが診ている。

ドクターがカルテを書いていて当然だ。

それを分かった上で私は言った。

「それに、例え私が治療したとして
お礼を言われることはありません。
自分の仕事をしただけですから」

そう言って呆然とする双子に背を見せ
踵を返し歩き出す。

「まっ待って!」

いきなり腕を掴まれた。

「教えて下さい。
どうしてボク達にそんなに冷たいんですか?」

私は振り返らず淡々と

「気のせいです。
私はこういう性格ですから
よく誤解されるだけです」

「そんなの嘘だ!
だって、アレンやリナリーさんと一緒にいる時はあんなに穏やかなのに!」

「それは貴方がたより付き合いが長いから…」

「アレンとはそこまで長くないと聞きましたよ?」

その時、私の中で何かがはじけた。

「だから何だって言うんですか」

「え…?」

「ええ。この際ハッキリ言います。
私は貴方がたが大嫌いです」

私の両親を奪った。

理由はこれで十分だ。

「これで満足ですか?
だったらいい加減腕を放して下さい!」

掴まれた腕を無理やり引き剥がし、私は逃げるように一目散に走り出す。

仲良くなんて出来るはずない。

あの2人さえいなければ私の両親は生きていた。

そればかり考えてしまう。

ただの妬みだって分かってる。

矛先の間違えた恨みだって分かってる。

でも、そう思わずにはいられないんだ…!

「死んじゃえばいいんだ…!
あんな2人っ死んでしまえば!」

その命をもって償ってよ。

私のお母さんとお父さんに!

 

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