1.僕と君



彼女と初めて知り合ったのは教団の廊下

「うわ!?」

の床だった。

特に何も考えず廊下の角を曲がった途端
固く無機質な廊下の床とは違う柔らかい物を踏んだ。

何事かと見下ろすと
僕の靴に踏まれてるのはなんと人…しかも女性だった。

「すっ!すみません!
大丈夫ですか!?」

慌てて足をどかし床に倒れている女性に謝りながら顔を覗き込む。

黒い団服を羽織っている様子から彼女もエクソシストだ。

でも、リナリーやミランダさん以外にエクソシストで女性っていたかな…?

そう考えながら相手の体を揺する。

反応がない。

ピクリともしない。

まさか、怪我か病気で倒れて…!?

「大変だ!すぐに医者に……っ?」

何てことはなかった。

彼女は

ぐっすり眠っていたのだ。




















「いや〜助かったよアレンくん。
なかなか来ないから途中で寝てるかもって思ってたんだ」

コーヒー片手にコムイさんはお気楽にケラケラ笑いながら
ソファーの上で寝かされている彼女を見る。

あの後、どうしようもなかった僕はひとまず彼女を抱いてコムイさんの所にやって来た。

どうやら知り合いらしい。

僕に抱かれて眠る彼女を見た瞬間『またか』と言わんばかりの表情をして
ソファーに寝かせるよう言ってきたのだ。

「コムイさん知り合いですか?
もしかして入団者の方ですか?」

「いや、どちらかと言えば君の先輩だよ。
この人のイノセンスはアレンくんと同じ寄生型でね。
更に寄生型の中でも特殊なんだ。
反動で睡眠が人の倍以上必要らしくて眠くなったら何処でもどんな状況でも寝ちゃうんだよ。
アレンくんが食べ物を沢山食べる現象が睡眠になったって感じかな?」

「睡眠に…」

チラッとソファーの上で眠り続ける彼女を見る。

同じ寄生型のイノセンスという事に若干名親近感が湧いた。

「彼女のイノセンスは何処にあるんですか?」

「声帯だよ」

「声帯?」

「そう。つまり喉が彼女のイノセンスさ」

「喉だなんて…」

それはつまり、一度でもイノセンスが壊れれば死んでしまうということだ。

敵から壊されることはもちろん
無茶することも出来ない。

僕の心情を悟ったのかコムイさんは苦笑しながらフォローするように

「とても危険だけど、その分彼女のイノセンスの力は凄まじく強力だよ」

「どんな風にですか?」

「彼女の声が聞こえる者すべてが対象さ」

「怒号や爆音、埃の耐えない戦場で声を張り上げるなんて喉の負担に…」

「え?いや、違う違う。
彼女はエクソシストだけど戦闘員じゃないよ」

「へ?」

「医師団も泣き寝入りする強力なヒーラーだよ」


 


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