17.真夜中の襲撃



「っ!?」

どうやらいつの間にか僕も眠っていたらしい。

けれどその睡眠は左目の反応によって叩き起こされた。

アクマだ。

「ルシファー…!」

慌てて彼女を見ると
そこには眠るルシファーに異様なまでに顔を近付けている女性がひとり。

ギョッとして一瞬体が硬直したが

「い…い…ぃノせんス…
ぃぃノせんススス…
ぃイィいひヒヒヒヒヒ…!!!」

「退け!!」

女性の皮を被ったアクマを押しのけ眠るルシファーを抱く。

アクマが皮を破るその瞬間

ルシファーを団服で覆い、強く抱き込んで
僕は迷いもなく走行中の汽車の窓を破って真夜中の外に飛び出た。

皮を破ったアクマが後を追ってくる様子がコマ送りに見える。

追ってきているのを確認した僕は地面を転がって受け身をとり、すぐに立ち上がると
追ってきたアクマ、レベル2と対峙する。

「ぅ…アレン…ウォーカー…?」

ルシファーが目を覚ました。

流石に起きるか…

「一体…?」

「アクマです。
下がってて下さい」

彼女を離し、自分の後ろに立たせる。

呆然と僕とアクマを眺めるルシファー。

「クラウン・クラウン(神ノ道化)!」

退魔ノ剣を装備し
地面を強く蹴って飛び上がると剣を大きく振り上げた。

「ハァアアア!!」

レベル2は最初は僕を見ていたが
微動だにしないルシファーを見て

「ヒヒッ女のエクソシスト!戦えない奴だナ!
殺す!今すぐ殺!」

標的をあっさり変えて一目散にルシファーへと走っていく。

「くっ待て!!」

クラウン・ベルトを伸ばしてレベル2を拘束し
自分の元へ引き寄せようと引っ張る。

「お前の相手は僕だ!」

「いヤだー!
ひ弱なそこの女をズタズタに引き裂ぃテ
なぶ殺しにシたい!!」

「ちょっ…!」

執念なのか物凄い力で引っ張られる。

負けじと引き寄せるが距離が縮まる気配がない。

この場から彼女を逃がしたいが
僕の目が届かない所で別のアクマに襲われちゃたまらない。

窓から飛び出したせいもあり
ガラスで所々切った場所がズキズキ痛む。

「こっちに来いぃいいい…!!」

「い゛いいやぁアだあぁぁあああ…!!!」

埒があかない綱引き状態。

ルシファーはポカンと眺めながら
訝しげに眉をひそめ

「…ギャグ?」

「違います!!」

「私を狙ってるんですね。
分かりました」

そう言うと何を思ったのかレベル2に近付いていくルシファー。

「ちょっ…!何して…!」

「そうソう!
こっちにおイでー!!」

「バカ!離れ…!!」

彼女はアクマを素通りし
僕の真横にやって来た。

「さあ、こっちですよ」

淡々とルシファーがレベル2を見据えながら言う。

「ぁ…」

「ずっずるイそんなノ!!」

「知りません。
私を殺したいならこっちに来て下さい」

そして小声で

「一定の距離は離れるよう努力しますが
基本的に貴方から離れないよう動きます。
戦いにくいでしょうが頑張って下さい」

「………いえ、助かります。
レベル2なら一太刀浴びせれば終わりますので
それまでルシファーも頑張って下さい」

アイコンタクトで互いに頷く。

「ぃイいもおおォおん!!
そんなに言うなら行っテゃるぅァあアああ!!!」

引っ張られていたクラウン・ベルトの突っ張りが緩んだ。

レベル2が突っ込んでくる!

「右に避けます!
間に入られないよう同じ方向に避けて下さい!」

「分かりました」

「今!!」

僕の合図で同時に攻撃を避ける。

路面の砂利がレベル2の手によって深くえぐられた。

「まぁてェえええ!!」

レベル2の攻撃の応酬。

戦えない人が傍にいるため
隙を見つけて攻撃することが出来ない。

大きな隙がないと安全に攻撃を当てられない。

「くっ左!」

二人して左に避ける。

これじゃキリがない。

「アレン・ウォーカー」

「なんです!?」

「…信じてますからね」

「え…?っ左!」

だが彼女は、右に避けた。

レベル2がすかさず間に入り
僕に背を向けルシファーを捕まえる。

「つかまェたあアぁあ!!」

「誰に背を向けてるんです?」

「へ?」

向けられた背に振り上げた退魔ノ剣を振り下ろした。

グ…ガァあああァァあああ!!

断末魔を上げ

消滅するレベル2。

捕まっていたルシファーは離され自由になる。

レベル2の残骸を見ながら

「哀れなアクマに、魂の救済を」

  


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