12.新しい任務



「…ア…アレンくん?」

「コムイさん…っ
何でもいいです。
ルシファーを守りながら遂行出来る任務をください!」

「え…?」

僕はコムイさんの座る書斎の上に両手をダン!と置き

「ルシファーに任務が来ず
ホームの外に出ないのが皆さんの不満なのでしょう?
だったら、彼女を任務に出します!
僕が責任持って守りますから任務をください!」

「いきなりどうしたんだい?
そんなこと言われても急にあげられる任務はないよ?」

「未遂でしたが
彼女はついに暴力をふるわれようとしてたんですよ」

「!?」

「話の内容は患者を助けられなかったルシファーへの怒りだけです。
でも、患者の耳は潰れていて彼女のオラトリオ(聖職者の歌声)でも手の施しようがなかったんですっ
ほぼ八つ当たりですよ…っ」

「そうだったのか…
やっぱり、ルシファーを教団に連れ戻したのはまずかったのだろうか。
あの子は昔から言葉足らずの上ストレートな物言いだから
よく誤解されるんだよ…」

「絶対に僕が守ります。
だから、僕とルシファーに任務をください!」

「アレンくん…」

コムイさんはしばらく山積みになっている書類を漁り

「来るまでに探しておくよ。
だからルシファーを連れてきてくれるかな?」

「っ…!はいっ」

僕は室長室を飛び出し、眠っているであろうルシファーの元へと走り出した。

























「任務…?私にですか?」

「というかルシファー。
君はまた廊下で寝てたんですか。
もう次から絶対部屋まで送ります」

「疲れたので座ってただけです」

「思いっきり寝てました」

寝ぼけ眼で壁に寄りかかっているルシファー。

彼女の部屋に向かう途中の廊下で、壁に寄りかかって眠っていたのだ。

「ほら立って下さい。
コムイさんが呼んでますから」

手を差し出す。

「本当に私にですか?
誰かと間違えてません?
私は戦場に行っても何も出来ません。
というか私が戦場に出たらアクマ含めてその場の全員が死にます」

「一体どんな風に戦う気なんですか」

僕の手を握り立ち上がると
まだ半分寝てるのか大きく体がグラついた。

足元も覚束ないし…

仕方なく僕は彼女を抱き上げて運ぶことにした。

「……」

「寝ないで下さいよ?
コムイさんの所に運んでるんですから」

「私は荷物ですか」

眠そうな焦点の定まってない目。

そんな表情で大人しく抱かれ
僕の胸に頬を寄せる彼女の今の姿は、正直言って心臓がうるさいほど高鳴っている。

「コムイさんからの任務が戦闘とは限らないですよ。
君が戦えないのは彼も熟知してますし」

「教団に所属して長い方ですが…
任務が来たのは初めてですよ」

「それ程切羽詰まってるんでしょう」

なんて

本当は僕がコムイさんにお願いしただなんて言わない。

室長室にたどり着き、ノックをして名乗るとすぐに入室するよう返事がきた。

僕に抱かれてるルシファーの姿を見てコムイさんは苦笑し

「ごめんごめん。
眠かったんだね、ルシファー」

「私が眠いのはいつものことです。
…こんな風に日常ですらまともに起きていられない私が任務なんて出来るんですか?」

「移動だけの任務だから大丈夫だよ。
ちゃんとアレンくんも一緒だしね」

さあ、座って。
と書斎の前にある椅子に促され
僕はまずルシファーを椅子に座らせ、そして自分も横に座る。

「任務の内容はイタリアで任務を終わらせた神田クンの治療だよ」

「え…」

「神田…彼になにかあったんですか?」

あれ、神田はフルネームで呼ばないんだ。

なんか

ちょっとムカッときた。

「大量発生したアクマの一掃が彼の任務だったんだけどね
途中でノアの一族と接触し戦闘になったみたいなんだ。
なんとかその場は退けられたものの負傷が酷いらしくてね。
まだ集中治療室にいるみたいなんだ」

「でもっ神田は自分で傷を…」

「わかりました。引き受けます。
彼にその力をなるべく使わせたくないのは私も一緒です」

即決だ。

「(なんだ…?
なんか、神田のことなったら…)」

ルシファーは、まさか神田が…?

「お願いするよ」

微笑するコムイさん。

自分からルシファーに任務を
と、お願いしたのに…なんだろうな。

ひどく

胸が切なく感じる。

 


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