8.連動する出来事



ルシファーの部屋にたどり着き、彼女をベッドの上に下ろす。

もぞもぞと毛布を手繰り寄せ
眠そうに毛布にくるまった。

「こうしてると
僕がお父さんみたいって
あながち間違いじゃないかもしれませんね」

自分で言っててちょっと虚しくなった。

どうして好きな人のお父さん役をしないといけないのか。

「私のお父さんはアレン・ウォーカーじゃないです」

「当たり前ですよ」

「ちゃんと家族いますもの」

「…ルシファーの家族?」

「実家に両親がいます」

「そうなんですか…
兄弟とかいるんですか?」

「私一人です」

「よく両親がルシファーが教団に入ることを許しましたね…」

まあ、許す許さない関係なく
イノセンス適合者は強制的に入団することになるのだが…

「私から希望したんです」

「え?」

「昔から私は変な化け物…
つまりアクマなのですが、そいつ等に狙われてたので…
その度に逃げ回っていました。
だから…私がイノセンス適合者だと教団者の人に言われ、教団の存在を知った時
私から進んで入団を希望したんです」

「どうして…」

「私がいなければ、両親への危険は低くなるから」

うとうととまどろみながらルシファーは言う。

「その代わり、必ず生きて帰る約束をしました。
イノセンス目当てでアクマが来るかもしれないから
私は教団にいない間も両親と暮らす事が出来ない。
だから…戦いが終わったら生きて帰ると約束しました」

「…そうだったんですか…」

「早く終わってほしいです…
こんな、戦い…」

目を閉じ、眠ってしまったルシファー。

僕ははだけた毛布をかけ直してやり
彼女の髪をさらりとひと撫でしてから、ランプを消して部屋から出た。

露骨に嫌われてるにも関わらず
ひたむきに人を癒やしていくなんて、まるで女神のように優しい人だと思ったけれど…

本当はとても人間くさい思いで
人を癒やしてるのかもしれないな。

僕はそう思いながら
遠くで呼んでいるラビの元へと歩きだした。





















神田ユウ、リナリー・リー部隊任務報告。

フランス某所にてイノセンス適合者と思われる双子を発見。

しかしアクマ(レベル1)の襲撃に遭っており
それにより周囲の被害が拡大しつつあった。

人命の被害は2名。
双子の話によると、アクマに殺されかけた所を
通りがかった紳士と婦人が身を挺して庇った模様。
おそらくアクマの血の弾劾に被弾し、死亡したと思われる。

遺体は石のように粉々に砕け散り、その場に衣服だけが残されていた。

その直後、神田ユウ、リナリー・リーが到着。
神田ユウがアクマを撃破しリナリー・リーが双子を保護。

紳士と婦人の命は救えなかったものの
周囲の被害拡大は未然に防ぐ事が出来た。

神田ユウはそのまま別の任務の為イタリアに向かい
リナリー・リーは双子の護衛をしつつ教団へ帰還した。

「以上だね。
お疲れ様リナリー」

コーヒーを飲みながら自分の妹であるリナリーに微笑むコムイ。

「ごめんなさい兄さん。
もう少し早ければ、紳士と婦人は助かったはずなのに…」

「仕方ないさ…
これだけはどうしようもない。
せめて2人が安らかに眠れることを祈るだけだよ…」

言いつつもコムイの表情は暗かった。

おそらくリナリーと同じように
いや、もしかするとリナリーに心を痛めているのかもしれない。

何かを噛み砕くようにコムイはコーヒーを口に含む。

「失礼しますコムイ室長。
死亡された2人の身元が判明されました」

部屋の外から声をかけられ、入室するよう促す。

入ってきたのは今回の任務で同行したファインダー。

手に持っていた二枚の紙をコムイに手渡し、早々に部屋を退室する。

コムイは書面をしばらく眺め

それは突然に表情が豹変する。

「…?どうしたの?兄さん」

「そんな、まさか…」

「兄さん?兄さん、どうしたの…!?」

リナリーの声が届いてないのか
コムイは頭を抱え、青ざめたまま答えようとしない。

ただ呆然と、書面を眺めるだけだった。

 


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