種明かしをしようか


「大分開けてきたわね」
「氷魔さんに感謝しないとね」
「だねー」


突如消えてしまった氷魔はさておき、再び足を進み始めた私達。何が「では、また」だ。村に着いたら覚えてろよ氷魔ッ…!!握り締めた拳を隠すように、川沿いの道を歩いていく。


「何か不思議な人だったけど…」
「うん、突然消えちゃうし」
「溶けたんじゃね?」
「この気温で?!」


誤魔化すように軽く舌を出して視線を逸らせば、光を映した川からさらさらと水の流れる音が響いた。歩き進めるこの道は、先程とは違い平坦な道。うん、幸せだ。

歩き進めるまどかとケンタの後ろで、ふむと頭を捻ってみる。氷魔が消えた理由は、確か今頃キョウヤ達と合流しているからだっただろうか。なんだっけ、猪とかに襲われて、それでキョウヤからすっっごい怪しまれてて…?


「「あ」」
「お?」


張り巡らせた思考回路に突如響いた、二人の声。驚いたその表情を辿っていくと、道の先には見慣れた人物が二人。そして、よくよく見慣れた人物が、一人。


「ベンケイ!キョウヤ!それに…」
「氷魔さん?なんで?」
「何か面白いなあの三ショット」
「行ってみよう!」


取り敢えず、キョウヤもベンケイも無事で何よりだ。小さく安堵の息を漏らし、緩む口元のまま走り出した二人をゆっくりと追いかけた。








「「おーい!」」
「おいーっス」
「ん?…ケンタ!美羅!まどか!」

こちらに気づいたベンケイが、満面の笑みを向けてくれた。別れ際に見た怒り顔とは打って変わって、嬉しさマッスクなその表情に笑ってしまった。続けてキョウヤにちらりと視線を向ければ、こちらは少し驚いた表情をしていた。うわあ、おっひさー!とは口には出さず、小さく手を振っておいた。

「さ、三人とも元気そうじゃな!!」
「ベ、ベンケイも!!」
「「アハ、アハハハハ」」

そういえば、喧嘩別れしたんだっけ。気まずそうにどもる言葉も、内心すごく嬉しがってるのが分かってるから笑ってしまう。素直じゃないケンタの背中を、面白いから肘で軽く小突いておいた。

そんな空間を裂く。平然を装った声。


「またお会いしましたね」
「あ、さっきはありがとう!」
「助かりました」
「何じゃお前等知ってるのか?」
「うん、ここに出る道を教えてもらったんだ」


キョウヤと私を除く四人のやり取りを眺めながら、なんとなくじとーっと氷魔のことを睨みつけてみる。白々しいな、とか言いたいことはあるけど、とりあえず今私が睨む理由はそれではない。

その意図に気づいてなのか、不意に向けられた視線に思わず息を呑んでしまった。そこに一瞬浮かべられ、背けられた表情はさっきと全く変わらない笑顔で。


「(……っうあー…)」


先ほどの距離とか、声とか。
ふと思い出してしまったそれに、何だか急に恥ずかしくなって大きく頭を抱えてしまった。ああ、もうなんだこれ、ほんと心臓に悪い!!そう言って抑えた方はやはり右だったので、さり気なく左を抑え直した。


そんな時、真横から小さく声が響いた。

「おい。お前等いつアイツと会った…って、何赤くなってんだ?」
「んなわけねえだろ絞めるぞ」
「ハァ?」

目標変更。睨む視線をキョウヤへと移せば、本人は訳が分からないと言いたげだ。そりゃあそうか。どばっちり?そんなまさか。


「ああてか、無事で何よりだよキョウヤ」
「当たり前だ。…で、いつだ?」
「二人と別れてからすぐだよ。多分」
「多分?」
「崖から落ちて気絶してたところを、助けてくれたんだ」
「ハァ?!」
「っ、はあ?!」


び、吃驚した…!!意外にも大きく響いたその声に、思わず体が前のめりになってしまった。そして意味もなく復唱してしまった。いや、あまりにも美声で吃驚したってのもあるけど。それは黙っておこう。

「大丈夫なのか?!…お前等」
「オフコース!」

ぐっと親指を立てて見せれば、呆れ顔と溜息のコンボで返されてしまう。文句の一つでも言いたかったが、それは後頭部に走った痛みにより叶わなかった。痛ッ!!地味に痛ッ!!威力もタイミングも容赦がなかった。


「ッてー…!」
「洒落になんねーことすんな」
「いやウケ狙ってやったわけじゃないよ?!」


いくらなんでもそれは心外だ!!どんだけ体張ってるんだよそれ。…てか、え、キョウヤってば一体私のことどんな目で見てるの。考えたらなんか空しくなってきた。
まあいい、と言葉を繋げるキョウヤだが、こちとら全然良くないぞ。そして私の頭はそんなに叩きやすい位置にあるだろうか。

こちらの視線を気にもせず、キョウヤはどこか不機嫌そうに歪められた顔に手を当て氷魔へと視線を向ける。そんな視線に、四人は気づかない。


「…とにかく、今はアイツか」
「あー氷魔?……さん?」


思い出して付け加えた言葉に、対してツッコまれなくて良かった。キョウヤ、もう既に氷魔のことかなり怪しんでるじゃん。…こりゃバレるのは時間の問題だろう。何か皆に悪いことしてる気分だ。
…どんな反応されるんだろ、若干怖いっちゃ怖い。


「取りあえずてめえはこれ以上面倒を起こすな。大人しくしてろ」
「なッ?!なんかひでえ盾神さん!」
「黙れ。そして気色悪い呼び方すんな」


高めの位置にあるその瞳を睨んでみても、面倒くさそうに逸らされるとか。勝負すらさせてもらえない、うわっ、泣きてえ。


「キョウヤー…」
「うるせえ」
「ごはっ、クリティカル」
「バカじゃねえのか」
「いやバカじゃねえよ」
「なんで笑ってんだよ」


なんでだろう、よく分かんないけど笑えてきた。こう、キョウヤって面白いんだよな、ツッコミが冴えわたっているんだよな。あとついでに後頭部強打も。それは普通に痛い。
理由もなく溢れ出す笑いを堪えていれば、最早聞き慣れた溜息が降ってきた。いやあ、ごめんごめん。


「意味が分かんねえ」
「うん、私も」
「だいたい、」
「さあ、お二人も遊んでないで行きますよ!」
「あ?」「おおっ」


突如キョウヤと自分の間に入った、その存在に吃驚した。いや氷魔お前心臓に悪いよ。私同様キョウヤもかなり驚いた様子だった。


「さあさあ」
「おい押すな!」
「……。」



背中を押されながら、デジャヴに近いような何かに二人で首を傾げてしまった。




◇◇◇





「足元に気をつけてください。ここ抜ければ、安全な道に出ますから」

とか言って、どうせ結構歩かせる気なんだろ…?!
それに気づいたのは、数分前のことだ。思い出した展開に、頑張りますかと気合を入れた。まだまだいける体力はあるけれど、なるべく温存して進もう。

穏やかな道を抜け、先ほど同様の険しい崖道を歩き進む。しかし、先ほどよりも幅のある道で、すたすたと歩く氷魔の後ろをついて行くのは決して難しい事ではなかった。


「…ああ!ちょっと!」
「はい?」
「も、もう少しゆっくり行ってくれる?じゃないと僕たち…」
「古馬村に着く前に天国に着いちゃうわ…」


しかし、先ほどと比べて安全というだけで、実際危険な場所であるのは変わりはない。見下ろした先は、それはもう大自然が広がっている。
ふと、思い出す。なんだか記憶の中では高い所にあまり運がないような気がする。結構好きなんだけどさ。


高い所の思い出っていえば。


……。


落ちてばっかじゃねえかッ!!最悪だ!!


「美羅、どうかしたの?」
「いやー…一方的な愛って…辛い…!!」
「何があったの?!」

崖に手をついてそう嘆けば、ケンタが後ろであたふたとしてくれた。優しいな、ついでに目にも優しいなあケンタよ。てか後ろ閊えてるな、ごめん。


「大丈夫ですか?手、貸しますよ」
「え、あ」


その声に顔を向けると、既に時遅しだった。
突如包まれた手の温かみを、今は恨めしく思う。自然と握られたその先を辿れば、そこには曇りなくニッコリと笑う表情、とか。


「だ、大丈夫だから」
「いえいえ、先ほどみたいになってからでは遅いんですよ?」
「ならないから、この幅じゃ」
「ま、遠慮なさらず。さあ行きますよー」
「ああ、ちょ!」


不意に引かれた腕を振り払うほど私だってバカじゃない。今ここで無理やりにでも払えば、それこそ本当に真っ逆さまだ。

…落ちるわけないじゃん。
分かってるくせに。子ども扱いにも近いそれに、なんとなくムカついてしまった。

「…あとで覚えてろよ氷魔」
「何とでもどうぞ」

小さく、呟いておいた。




















「まだー…?」
「もうすぐですよ」


この道、既に三度目。
…本当にいつまで歩けばいいんだろう。しらーっとした視線を向けてみても、まるで意味はなかった。
ちらりと隣を見れば、ほらあ……キョウヤなんて既にご立腹だぞ?


「美羅、大丈夫?疲れてない?」
「ん?いや、まどかの方が大変だろ。慣れてないっしょ、こういう道」
「美羅は慣れてるの?」
「え、あー…いやあまあ。一人旅してる時とかには、こんな道もよくあったし」
「なるほどね」


あっぶねー…内心冷や汗もんだ。氷魔の意味あり気な視線に気づいたが、敢えてそちらは見ないことにした。振り向いたら負けだ。だって嘘はついてないぞ。決してッ!!

「大丈夫だって、はしゃぐのは程々にしとくからー」
「でも無理しちゃダメよ。病み上がりなんだから。病、み、上、が、り」
「病み上がり?」
「そうなの、美羅ってばすぐ無理にしてこの間だって…」
「まままどか!だだ、大丈夫だから!」

へらりと崩していた表情が、ピシッと音を立てて固まった。まどかの言葉を手で制しても、お、遅かった。ちょ、お前そんな目で見るなし。その「聞いてねえぞゴルァ」みたいな視線向けるなし、氷山の氷に魔物の魔怖ええしッ…!!


「というか…本当にこの道で合ってるのか?さっきから景色が全然変わらんような…」


ナイスベンケイ、待ってたよその言葉!!
話題を変えようと思考したところで、ベンケイが言葉を投げる。ハッとしたように氷魔は一瞬立ち止まり、ゆっくりと、自然な動きで振り向いた。


「山は、似たような景色が続きますからね。…気のせいですよ」


その言葉も、そろそろ無理があるだろう。
キョウヤが積み重ねていた石は、もうそれなりの高さになっていた。


「さ、元気を出していきましょー」


「待て」


この罠をぶち壊す、獅子からの攻撃だ。




◇◇◇




「可憐で美しいベイでしょう?クレイ・アリエスです」

ううわあーッッ!!アリエス久しぶり!!
なんて叫びたい衝動は、ぐっと抑えておくしかない。状況が状況だし。よく我慢した偉い。久しぶりに見たアリエスは、言葉に違わず美しかった。


「貴様、一体何者なんじゃい?!」


ぐるぐると同じ場所を歩かせていた氷魔を、キョウヤは通るたびに重ねていた石で指摘した。論より証拠というやつだ。当然事を理解した皆は、氷魔を警戒するわけで。

そして決定打は、白を切り通した氷魔に向かって放てられたレオーネ。崩された岩場から落ちる瓦礫を壊すために、氷魔はアリエスを出してしまった。

…てか、結構笑えない量でしたよ。無傷とか相変わらずすげえ氷魔。そしてキョウヤは手早すぎだろ。


「私達をどうするつもり?!」
「まさか!貴様暗黒星雲の…!」


その言葉に反応したのは、私だけではない。一瞬震えた肩は、なんとも言えず微妙な感情から。
その理由を言ったところで、だからどうしたって話だし、自業自得かもだけど。…嫌に決まってる、そんな、自分の最も憎む奴等と間違われたら。


「それで態と…!!」


違う。違うよ。
事実を告げる時ではないし、かけられる言葉も今はない。だからこそ、無意識のうちに足だけがそちらへ向かってしまった。せめて、何かをと。
意思に反して口が開いた。


「……、ひ」
「てめえは大人しくしてろ」
「おおおい?!」


沈みかけた意識が、がしっと後方に傾いた体によって一気に吊り上げられた。大漁ーってやつか!!いやなんともまあ?!

「キョ、キョウヤ?」
「やつ等の狙いは、てめえじゃねえとは限らねえだろ」
「!、い、いや違うんだそれは…!」
「なんでそんなこと言えんだよ」
「そ、それはそのー…」

そ、そういう展開か!!
なんだこれ、気まず!!

だらだらと冷や汗を流し、頬を掻いても状況が変わるわけはなく。さらに真っ直ぐな視線がちくちくと刺さる。

都合の良い回答なんてないし。ええええああああ…。


「とにかく、てめえはじっとしてろ!」
「いや、あのさ…」
「俺たちを古馬村に行かせんつもりか…!!」
「あ、ちょ」


「それが知りたければ、僕にバトルで勝つことですね!あなた方の誰か一人でも僕に勝つことが出来たなら、ここを抜ける本当の道を教えてあげますよ」



バトル開始、数秒前。


「……。」


もう、どーにでもなーれ!!!




◇◇◇





「何故だ!何故効かんのじゃ…!」
「落ち着けベンケイ!よく周りを見ろ!」


まず氷魔へとバトルを挑んだケンタは、惜しいところで岩場にぶつかり、バランスを崩してスリープアウトしてしまった。続いて挑んだベンケイは、エターナルディフェンストラックに苦戦中だ。

………。

ふ、不謹慎だろうか。…わ、私もバ、バトりてえー…!!


「ああ!ブルの回転が!」
「あと一回の攻撃が限界か…!!」

勝負は大詰め。トラックに気づけないと、ベンケイに勝機はない。
暴くってのはそれなりに楽しいと思う。ストレートじゃ駄目なんだ、ここは変化球で試してみないと。

「こうなったら…!!あと一回、ありったけの力をぶつけちゃる!!」

…うん、まあストレートも好きだ。これがベンケイの長所でもあるし。


「やってやれ!ベンケイ!」
「おお!…じゃが、頼むまどか、お前の力でアリエスの秘密を暴いてくれ」
「!、分かったわ!」
「そして、キョウヤさん…」
「ああ、あとは任せておけ」

「玉砕覚悟ですか?何故そうまでして勝ちたいんです?」

「貴様に勝たんと道は開けん…これも銀河に会うためじゃ…!!」



探るように。



「それは友達だからですか?ライバルだから?それとも…」
「貴様なんかには…一生分からんわい!!」



試すように。


もう、充分分かったはずだ。皆の気持ちも、思いも。
思いの応酬も、意味が分かるからどちらも応援してしまう。でも、「銀河のため」とここまではっきり言われたら、氷魔も逆にスッキリしてしまうんじゃないだろうか。私だって銀河に会いたい気持ちは同じだ。


「ブル、最後の一撃じゃ!!」
「その思い、受けて立ちましょう!!」


この一撃で、全てが決まる。


そういえば私、皆になんて説明すればいいんだろ。


今更なそれに、引き攣る口元で腕を組めば、地面へと潜ったブルが大地を割って飛び出しアリエスを上空へと打ち上げた。


「必殺転義、ダークブル!レッドホーンアッパー!!」
「おお、真下から!」
「これなら直撃だ!」


「アリエス…ゴーンウィズザウィンド!」


ダークブルの鋭い一撃。
でも、それじゃ効かない。


「な…っ」
「攻撃を完全に受け流した?!」
「トラックが完全に回転って…」
「一体どんな必殺転義じゃ?!」
「全ての攻撃を受け流す、アリエスのエターナルディフェンストラックです」


攻撃を受け流されたブルは、その勢いのまま宙を舞った。そして、既に着地したアリエスは落下するブルにしっかりと構えている。

「秘密がばれてしまったようですね…ですがこの勝負、僕の勝ちです!!アリエス、シープポーンスロー!!」

真っ直ぐに落ちてくるブルを、アリエスはその角で突き吹き飛ばす。ベンケイが悔しそうに声を上げるなか、ブルは鈍い音を立て岩へとめり込んでいた。


決着、だ。












「敵の攻撃を受け流す特殊なトラック。なるほど、ある意味究極のディフェンタイプだ」

ベンケイとのバトルを終え、向かい合うキョウヤと氷魔。
そんな中、キョウヤの背中越しに氷魔と視線が合った。その視線の意味が分かってしまって、笑ってしまった。ね、だから言ったじゃん、必要ないって。
安心したような、困ったようなそんな表情。にししっと声は出さずに笑いかけると、その表情はさらに濃くなった。


「だが俺とレオーネの必殺転義が受け流せるかな…!!」


さあ、タイムリミットだ。


「俺は盾神キョウヤ!銀河とは…」
「では皆さん、僕について来てください!…ベイブレードの里。古馬村に案内します」


「「「「……は?」」」」


ずるっと気の抜けた声に、声を出して笑ってしまった。不思議そうな視線を向けられる中、氷魔は一歩一歩前へ。


「どうしたんですか?急ぎましょう」
「お前…古馬村の場所、知っとるんか…?」
「そりゃそうですよ。だって僕は、古馬村の人間ですから」

「「「…えええ?!」」」


だよなあ、やっぱその反応だよな。


「ダ、暗黒星雲の手先じゃなかったんだ…」
「じゃ、じゃあどうしてすぐに案内してくれなかったの?!」
「古馬村は秘密の里…そう簡単に案内するわけにはいかなかったんです」


ニコニコと笑みを崩さないあたりが、氷魔らしいというか何と言うか。皆は既にぽかーんしていた。うーん、可愛い。


「見させていただいたんですよ。貴方達が本当に案内しても良い人たちかどうか」
「僕達をテストしてたってこと?」
「ええ。貴方方の銀河への思い、ベイを愛する気持ち。…よーく分かりました」
「それじゃ、テストは合格なんじゃな!」
「はい」
「じゃあ、氷魔さんは銀河のこと…」
「ええ、よく知ってますよ。僕と銀河は幼馴染ですから」
「「「ええ?!」」」



懐かしむようなその表情は、一転して何か笑いを堪えるような表情に。



「そして、他に約一名。よく知った人物がいらっしゃいます」
「「「え?」」」



「もーこんなのは懲り懲りだからな、氷魔!」




そう来たか、どんなパスの仕方だよ。不思議そうな表情の皆が一斉に振り向き、思わず苦笑いを浮かべてしまった。言わせてくれ、マジごめん。


「はい。協力ありがとうございました、美羅さん」
「氷魔…?」
「協力…?」
「どういうことじゃ?」


その視線から逃げるように、一歩一歩前へ。氷魔のすぐ側まで辿り着いたときには、キョウヤはレオーネを構えたまま眉を顰めていた。


「…なるほどな。そういうことかよ」
「え、どういうことですかキョウヤさん…」
「コイツは全部分かってたってことだ」
「あははー…ごめん」
「え、でもどうして?」
「それはだって、美羅さんも古馬村の人間ですから」




「「「……。」」」




「「「えええええ??!!」」」




うわーい、すごく響いた。





20110223








×