その花をください 分かっていたことではあるけれど、"好きだよ"と言えば彼は"すまない"と言った。だからもう一度、"それでも好き"と言うと、今度は彼は"ありがとう"と言った。それは心からの言葉なのかな?クリス君。 「私と付き合ってください」 「無理だ」 「もうちょっと悩んでよ」 「悩んだが無理だ」 「ふーん…」 あーあ、と声を漏らしてクリスの隣に座り込んだ。確かにこうなることは分かっていたが、今正しく振られたという事実に、若干ショックは受ける。 こうして返事がもらえたことだけでも、彼の性格が少しは丸くなったという良い結果として受け取っておこうかな。 「お前には、俺なんかよりもっと似合う奴がいる」 「ちょ、今正に振った相手にそれを言う?」 「事実だからな」 「へーへー…」 色恋沙汰とは無縁ですーみたいな顔してるくせにさ、よくもまあぬけぬけとこちらのハートを的確に射貫いてくるもんだ。 …やっぱり無理だったってことだよなあ。だからって、諦めきれるかっていうのは別の話だけど。 「どうしてもダメ?」 「ダメだ」 「お友達からでもいいからさ」 そこまで言うと、クリスからの返事がなかった。あ、怒らせちゃっただろうか。それとも呆れられただろうか。 …どうしよう。小さく頭を掻くと、横に並ぶクリスがこちらを向いた。少し驚くような、真剣な顔で。 そして、不安そうな声で。 「俺たちはもう、…友達だろう?」 うん、その通りだよ。 君は本当に、優しくなったんだね。 そんな君が大好きだよ (一発ビンタに『大嫌いだ』で諦めてあげる!) (できるわけないだろ、そんなこと…) 20120611 ← ×
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