「…………っはぁ――…すごいっスね、今の子!黒子っち、見ました!?」
「見ました。黄瀬君、頭を左右に揺らさないで下さい」
「減るもんじゃないし、いいじゃないッスか」
「やめて下さい。食欲と毛の細胞が減ります」
彼らは帝光中学バスケ部。
まだ場内のざわめきが収まっていない中、反省会という名の打ち上げ会のため早めに出てきた所だった。
会場を出て早々、真っ赤な風船が飛んでいくのが目に入った。
それを高いジャンプで引き戻した女子生徒。
見ないはずがない。
「あの制服って虎乃中学校のだよね〜」
「あー…あのお嬢様学校か。とんだ山猿が紛れ込んでるんだな」
彼らは紫原、青峰。
どちらも帝光に欠かせないエース選手だ。
「蛙の間違いだろう」
眼鏡をあげるが、既に女子生徒はいない。
…やはり山猿でも良いかもしれない。
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