階段を上がると、体育館とタイルで敷き詰められた広場があった。
日差しも暑いが、吹き付けるビル風も熱い。
結局どこを通っても同じということか。


体育館を見るとユニフォームを着た集団が出てきた。
どうやら試合が行われていたようだ。


(スポーツ部か……すごいな)


定期的な運動といえば通学位だ。
運動オンチでも体を動かしたい時がある。
それが今。

だがお嬢様学校の制服を着たまま走る事はタブーだ。
学校に知られれば、後日身元を調べられ呼び出される。


(あ゛ぁー!!飛んだり跳ねたりしたいー!)


だがあくまで、しゃなりしゃなりとおしとやかに歩き、顔は聖母の如く微笑むべし。

正直そろそろ口元が引き攣りそうだ。


「お母さーん、風船が飛んだ〜!」


先程の親子連れだ。
手に持っていた風船が空へと飛んでいく。


スローモーションのようにゆっくりとゆっくりと。


(よっしゃ!チャンス!)


助走を付け、風船目掛けてジャンプした。

長い紐の先を掴んで着地。


(…………決まった)


親子連れの方へ振り向くと、二人して唖然とした表情。


(しまった…やり過ぎた;)


私の唯一の特技はジャンプ力。
1mちょっと位は難無く飛べるが、生活する上で特に役立つことはない。


風船は母親がジャンプしても届かないであろう高さまで飛んでいた。
それを有名なお嬢様学校の生徒が走って飛んで…と。


(ヤ・バ・イ…☆)


これは後日呼び出しフラグですな…。


『はい、風船。飛ばさないよう気をつけてね』


男の子に風船を渡し、足早に去った。

心の中で(学校にバレませんように、学校にバレませんように、学校にバレませんように)という呪文を唱え続けながら。




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