..xx 共同戦線 xx..





あれからすぐの所に連れて来られた、今住まされているこの3LDKの部屋は臨也が借りたものだ。


二人が留守の間に色々と探ってみた。
だが防音もしっかりされているし、7階ということもあり、隣人に助けを求めることは出来なかった。

玄関から出ようにも、右足首に付けられた鎖はそこまで届かない。

もちろん携帯は没収。
固定電話も無ければ、インターネットの環境も無い。

あるのはただテレビに小説。
ゲーム機も様々だ。

脱出方法を考えることにも疲れた頃に、小説を全て読んでしまった。
ゲームも一人でしていても楽しくない。
テレビをつけて、ボーっとする位しかない。
そのうち眠ってしまい、帰宅した二人、もしくはどちらかによって起こされる。

あとはちょっとした掃除と洗濯をする位だ。


(暇だな…)


手首にも互いの腕を繋ぐ鎖が付けられている。
手錠にしてはかなり長い鎖のため、あまり不自由さはない。
ただ金属で出来ているため、腕を持ち上げる時に重いと感じることがある。

現に今、テレビのリモコンを持ち上げようとした際にも、少なからず疎ましく思えた。

チャンネルを変えると、ニュース番組で天気予報をしていた。
今夜遅くに雨が降り、明日は晴れ時々曇り。

どうも晴れというのは面白くない。
以前は雨や雪は面倒だと感じていたが、室内に閉じこもる生活になってからは天候に変化がある方が好ましくなった。
ベランダからのビル景色に変化が出来て、ちょっとした気分転換になるからだ。


淡々とした解説者の声はまるで子守唄のようだ。
少し前まで寝ていたのに、また眠気が出てきた。

テレビの電源を切るのも億劫だ。
だが電気代もかかるし、睡眠の邪魔にもなるし、電気だけ消すことにした。




*****************




さぁ…という音に目が覚めた。

ベランダの窓を開けると雨が降っていた。
部屋にある時計は既に19時を回っている。

洗濯物を取り入れて、もう一度ベランダに出た。

大きく息を吸うと、雨独特のにおいがした。


「帝人ー?」


玄関口から静雄の声がした。

それまで"竜ヶ峰"と呼んでいた彼は、このマンションでの生活が始まってから"帝人"と呼び名を変えた。




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