『ねぇっ、光くん!?』



「……」



彼女は細やかな抵抗を見せるが、俺はお構い無しに白石部長のところまで歩いた




「みかげに財前、どないしたんや…?」



俺らに気付いた白石部長が、不思議そうに見てくる



みかげ先輩はというと、俺に腕を捕まれたまま顔を伏せている




「白石部長、聞いてください」




「…おん」




「俺は、部長に宣戦布告します」



「…?」



訳がわからないとでも言いたそうな表情の白石部長に、俺は強く宣言してやった





「アンタの彼女、

  俺が貰いますわ」






「え、…?」




ポカンと口を開けている白石部長を置き去りにして、俺はみかげ先輩を連れてそのまま走り出した









『……光くん』



ずっと黙って着いてきてくれていたみかげ先輩が、俺を引っ張った




「なんすか」




『蔵ノ介、追いかけてこないね』



「……、じゃあ俺の勝ちってこどでいいんすかね」




俺がそう言うと、みかげ先輩が肩をすくめる



『まさか宣戦布告するとは思わなかった、やられたよ』



「惚れました?」




『残念ながら、私は白石くんにベタ惚れなままです』




「はぁ…、
まあ俺もみかげ先輩にベタ惚れなんやけど」



さっきの白石部長の表情を思い出す


俺の勘でしかないけど、たぶんあの人も彼女を――――




それでも俺は




「みかげ先輩が好きや

無茶苦茶に泣くとこも、全部」



俺はそう告げて、彼女を思い切り抱き締めた




『ねぇ、光くん…
私はまだ蔵ノ介が好きだよ

でもそこまで言うならさ


愛してみてよ、軽く5億年くらい』




俺は腕に籠める力を強めた


そんなの





「…当然っすわ」



俺がそう言うと、みかげ先輩は初めて笑顔になった



無茶苦茶な、彼女の泣き顔も好きやけど


やっぱ笑顔が一番やな





このまま彼女を5億年愛したら





6億年後に奇跡が起きるのか、も。






fin




*****あとがき


突然の思い付き連載の割にはスラスラと書けました(*^^*)

財前くん書きやすいー!


結局、白石クンの真意はわからないままになってしまいましたがヒロインのことはこれから財前くんが全力で幸せにすると思います!


もし感想いただけたら、すごく喜びます(*^//^*)

ではでは

読んで下さった方、ありがとうございました!



20120513*上条葵




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bacK

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