『…光くん、私が蔵ノ介のこと大好きなの知ってるよね?』



困惑したように俺を見るみかげ先輩



そんなの、痛いほど





「知っとる」





俺はそう吐き捨てながら、無理矢理みかげ先輩を抱き締めた



初めて彼女と触れ合ったあの夜が、蘇ってくる





『だから、ダメだよ…』



白石部長に見られてしまいそうな場所だからか、みかげ先輩は直ぐに離れようとした




しかし俺はそれを許さず、さらに強く抱き締めた




「なら何で…、
アンタはいつも泣いとるんや」





好きな女が泣いとんのに、はいそうですかって引き下がれへんねん




「泣いとる理由、教えて
やないと俺は納得いかへん


俺なら、みかげ先輩をこないに泣かせへん」




俺がそう言うと、みかげ先輩は観念したようにため息をついた




『光くんとさ、ちゅーしたじゃん?』



「はい、」



『あれ蔵ノ介に言ってみたんだよね…、財前くんとキスしちゃった!って』



「えっ」



意外だ、てっきりみかげ先輩は俺のことは白石部長には告げてないのかと思っていた



『したらさ、蔵ノ介は何て言ったと思う?

財前のこと許せへん?

それとも…

お前みたいな浮気女はいらへん?』




「……」



俺が黙ったままでいると、みかげ先輩は自嘲気味に笑った




『何も、言わなかったんだよ』





「みかげ先輩……」



『蔵ノ介はひどいよ

私を見てなんかいないくせに、突き放してもくれない


だから私は、



どこにもいけない』




「………っ、」




気付いたら俺は彼女の腕を取って歩き出していた


これ以上彼女の辛そうな顔を見たくなくて、





『ちょっ、光くん…

どこ行くの!?』



そんなの、決まっとるやないか




「白石部長のとこ」



『なっ…』



白石部長のことは尊敬しとるけど、負ける気なんかせえへん












「いつになったらぼくは、あなたの」その固く閉ざされた扉を



「5億年経ったって
あけてなんかやんない」







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bacK

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