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27 月影


その場に立ったまま強く抱き締めていた。
やがて斎藤が呟くように問う。彼の声は自分でも可笑しい程震えた。

「お前の」
「…………」
「名前の全てをくれぬか」

腕の中で名前の身体がぴくりと震え、少しの間を置いて消え入りそうに小さく「……はい」と答えた。
名前の声を聞くなり長い事抑えつけてきた想いが突き上げ、細い身体を両腕で抱き上げ待ち切れずに性急に口づけた。唇を離さないままに足を進めそっと床の上に彼女を横たえる。両腕の檻に捉え覆い被さるとすぐにまた唇を深く求め、貪るような口づけに名前が身動ぎ、その喉から苦しそうな声が漏れて斎藤は顔を離した。
見上げる濡れた瞳を覗き込み再度確認をするように呟く。

「お前の全部が欲しい」

微かに頷くのを認め自身の着物の合わせを緩め、薄く開いた唇に舌を差し入れていく。小さな舌を追い絡めて吸い上げる。痺れるように甘い。
彼女の首元の結い紐を引けば、洗ったばかりなのか僅かに湿り気を帯びしっとりと広がる絹の黒髪が両の指に絡みつき、その感触さえも愛しく小さな頭を抱くようにして唇を求めた。角度を変えながら幾度も長い口づけを交わすうち彼女の唇から吐息が零れ出す。唇を頬に這わせて耳に触れると名前の身体がまた小さく震えるのに、耳元に吐息で囁いた。

「愛している」
「……わたし、も」

耳殻を舌で愛撫すればまた悩ましい息を零す。手の平を頬へ首筋へと撫で滑らせ仰け反る彼女の頤に口づけ喉に舌を這わせていく。胸元を寛げ鎖骨に吸い付くといじらしく抑えた喘ぎが漏れた。
夜着を更に広げて肩を露にすれば小さな丸い肩が陶器のように射し込む月明かりを弾く。白い肌の一箇所、左肩にまだ赤みの残る傷痕。これは彼女が斎藤の為にその身を投げ出した時の傷痕だ。
彼女の愛情を確認したあの夜。想いを込めてそこへ唇を触れる。

「……あ」
「もうこのような目には遭わせたくない」
「斎藤さん……」
「命を懸けて名前を守る」

労るように慈しむようにそこに唇を押し当て何度も口づけた。

「ん……ん、」

擽ったそうに身を捩らせる名前の甘い声に煽られる。彼女の声がもっと聞きたいと、緩ませた夜着の合わせ目を更にぐっと押し開いた。膨らみが夜気に触れれば頬を染めて胸を隠そうと名前の細い腕が動くが、両手に指を絡ませ顔の横に縫い留めて、形よく盛り上がる白い膨らみとその頂に色づく蕾を愛でる。溜息が出る程に綺麗だ。





――全文は年齢条件を満たす方のみBehind The Scene* にて閲覧ください――



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MATERIAL: ユリ柩 / FOOL LOVERS

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