FILE.13
「も、申しわけございません!ハイ…まだちょっと…ハイ…」
「また雅美さんから?」
「ああ…今日だけで3度目だ…」

くそぉ…付き合いの悪い男だったらしく、仕事場でも誰も行方を知らないし…
娘がいたことさえ話さなかったみたいだ…
ペットショップにもあたってみたが、全く手がかりがつかめやしない…

「くそぉ…もう1週間もたつっていうのによ―…」
「ーおーっと、その差は4馬身から5馬身!!ぶっちぎりだ―!!ゴーカイテイオー、G15連勝―っ!!」
「「ゴーカイテイオー…?」」

どこかで聞いた名前ね…
広田さんがおじさんに人捜しの依頼をしてから1週間がたった今も広田さんのお父さんは見つからずおじさんが悪戦苦闘していた時、テレビから聞いたことのある単語が聞こえてきた

「「!?」」
「ねえ…確か広田さんの飼ってた猫の名前って…」
「ああ、“カイ”と“テイ”と“ゴウ”と“オウ”順番を組み換えると…」
「こ、これって!?」
「なーんて」
「まさかそんなわけないわよね…」

そんな単純なわけない、か
新一が広田さんが飼っていた猫の名前を“ゴウカイテイオウ”とノートに書くのを見たけどたまたまゴーカイテイオーと合っただけだと思ってたいして気にしなかった

「!」
「ーまさに無敗のゴーカイテイオー!!」
「え?そ…そうよ!きっとそうだわ!!広田さんは競馬好きだったのよ!!だから、自分の猫に馬の名前をつけたのよ!!」
「?」
「ちょっ…ちょっと…」
「おいおい…」
「競馬場に行けば会えるよ、きっと!!」
「ちょっと―…」
「お―い…」

あーあ…蘭がああなったらもう話聞いてくれないわね
ゴウカイテイオウ、と書かれたノートを見て競馬場に行けば広田さんのお父さんに会えるといい張る蘭に最早あたし達の呼び止める声は聞こえていなかった


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