∴ビショップ×撫子
彼の薄い唇が何度も、何度も私の名前を呼んでいる。夢の中に置き忘れてきてしまったもの。それに答える術を、もう二度と持ち得ることはないのだろうけれど。

∴キング×撫子
わたしの体は傷だらけだ。恐らく、あなたも。お互い傷付け合うことでしか愛し合えないわたしたちは、けれどもそう在ることが嫌ではない。嫌ではないなら、互いの体に在る傷が一体どちらが付けたものなのかなど、一生知らなくてよいのだと思う。

∴哲学者×撫子
優しいひとは怖い。植え付けられた恐怖概念を鮮やかに塗りかえるほどのそれは、決して終わらない。どうして気付かないの、どうして知らないふりをするの。あなたのそれが、わたしは堪らなく恐ろしいというのに。

∴ビショップ×撫子
忘却の彼方に押しやること以上に恐ろしいことなど、この世界に存在していやしましょうか。わたしすら理解できない深淵の彼方へあなたを押しやること以上に恐ろしいことなど。あなたがそれを願うとしても、叶えることが出来ない。忘却すら愛と呼べるほど、まだ強くなれない。

∴放浪者×撫子
早く探し出さなければ、たとえようのない焦燥感だけが胸を焦がして世界は暗転。息が出来ない、隣に在る筈の存在がいなければ。歩くことも、立ち上がることも、何もかも。早くしなければ、早く、早く。彼女のためではない、自分が自分としてあるために。

∴キング×撫子
好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好き好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ助けて

∴反逆者×撫子
狂おしい程の慕情の形は月日を経て少しばかりえげつないものへ姿を変えた。胸のうちに燻りながらとぐろをまく劣情は、気が狂いそうなほどあなたの形をしているというのに。





//有海