彼と再会したのは、本当に偶然だったのだ。
星に関係するグッズ開発から雑誌までありとあらゆるものを扱う会社にわたしが入社したのは最早必然じゃなかろうか。研究者になれるほど何か信念があるわけでもなく、かといって何か誇れるものがあるわけでもない。星に関係している仕事が出来るなら何でもいい、星に関係する仕事がしたい。打算も思惑もなく、純粋にただそれだけだったのだ。
「今年からこちらの部署にお世話になります、夜久月子といいます。よろしくお願いします」
わたしが配属されたのは家庭用プラネタリウムなどを開発するグッズ開発部だ。ここの家庭用プラネタリウムはわたしも持っていたから、純粋に嬉しかった。星に関わることも出来て、こんな幸せなことがあっていいのかとそう思ってしまうほどに、それは。
「…で、こっちが今日から夜久さんの担当になる宮地くん。色々教えてもらって早く仕事に慣れてね」
「あ、はい…。……?!え、みや、じ?」
「初めまして…じゃない、か。月子ちゃん、久しぶりだね。最後に会ったのが龍が高校三年だったから…四年前?」
「…はい、そうですね。お久しぶりです…宮地さん」
其れは遠いあの日の記憶。大切だから鍵をかけてしまったはずの、あの甘い日々の。
本当はずっと言いたいことがあったの。でも、言えなかった。きっとずっと彼は知らない。でも、それでいいのだ。そう思える程度には大人になったのだと。今はまだそう思わせていて。
忘れられないのはわたしの弱さだ。諦められないのも、わたしの弱さだ。分かっている。痛いほど、理解している。誰に糾弾されなくとも。ごめんね、誰に聞かせるわけでもない謝罪を喉の奥でもう一度繰り返してわたしはそっと目を閉じた。

//有海
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