「夜久、」

「なあに、犬飼くん」

「……ん、いや、何でもねーよ」

「そっか」

わたしのせかいはあのひとである。むかしも、いまも。

うそだらけのせかいで、あのひとだけが真実だった。あのひとだけが、うそみたいに綺麗で。

「犬飼くん」

だからわたしは、あのひとが真実でいつづけるかぎり、まだわらっていられる。

「なんだよ」

まだ、たっていられる。

「……なんでもなーい」


うそつきは、はたしてどっちだろうか。





◎うそつきのパレード






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