ぶっちゃけ喧嘩は別にそこまで好きじゃない。自分は写真を撮る方が好きだ。写真を撮って真実を纏め記事にする。それが一番好きだ。男なら拳で語り合うと言うが、好きじゃないものは好きじゃない。なぜわざわざ自分から痛い思いをしなければいけないのかが理解出来ない。そんなことを言ったら眼前で不機嫌そうに佇む男に殴られるのだろうか、とぼんやり考えながらハンカチを差し出す。思った通り彼はその手を払いのけた。
「あのさ、お前もう俺に近付くのやめたら」
何かを諦めたような声だった。それをどこか泣き出しそうな声だと思ったのははたして自分だけだったのか。彼が星詠み科の人間であることは知っていたし、星詠み科は特別な力がないと入れないことも勿論知っている。けれどもだから何なのだ。ちょっとひとよりも優れた力があるだけで、他の人間と何も変わらない。何を恐れることがあろうか、そうでなくても彼はとても優しいひとなのに。
「やだね」
「……おい」
「一樹が明日俺に会いたくないって思ってても。俺は、」
届けばいいと思う。この思いが。そしていつか彼の孤独に寄り添える人間が現れればいいのにと、そう思うのだ。
「明日も一樹に会いたいよ」







◎きみがやさしいそのりゆう。





0012-もう会いたくない/白銀桜士郎
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