「では、お願いします」
そう言って律儀に頭を下げた男を見て直獅は嬉しそうに笑う。彼に任せておけば大丈夫だと分かっているからなのか、頼んだぞ、と掛けるその声は髪の色と比例するように明るい。
「ほんと、お前にはいつも助けられっぱなしだよな。いつも、ありがとな」
「俺にはこれくらいしか出来ないですから」
「いや違う。お前がやっていることは誰にもできることじゃない。それをさも誰にも出来るようにやってのけるお前がすごいんだよ。きっとお前は気付いてないんだろうけど」
「そんな、」
「ありがとう。お前が生徒会長で、嬉しかった」
わしゃわしゃと自分よりも(認めたくないが遥かに)高い少年の頭を撫でる。彼は驚いたのか何も言わずに固まっていた。
「あいつのことさ、これからもよろしくな」
思い浮かぶのは、この学園でたった一人の少女のこと。彼の隣で綺麗に笑っていた姿が脳裏に思い浮かんで、思わず小さく笑う。彼女の左隣は何時だって彼のものなんだろう。
「きっとお前なら、大丈夫だ。卒業、おめでとう」






◎トゥデイ・イズ・ビューティフル・デイ






007-大切じゃないよ/陽日直獅
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