淋しくない。淋しくない。何回も繰り返し呟いてきた言葉を舌の上で転がす。淋しくないし悲しくない。彼の名前を呼んでも返事がなくて、生徒会室に行っても姿を見付けられない。(だけど淋しくなんかないし悲しくなんかない)そう思わなきゃいけないって思っている。そう感じなければならないとも思っている。
「それは、さびしいですね」
「ぬ……」
「翼くん、もっと簡単に考えていいんです」
「簡単ってなに?だってそう思わなきゃぬいぬいは安心して卒業出来ないじゃん、か…」
「……翼くんは一樹会長がお嫌いなんですか?」
「そんなわけない!」
「そうでしょう。……淋しいのはもう会えないからです。悲しいのは応えがないからです。その感情の根本にあるのは、「一樹会長が好き」だって気持ちなんじゃないんですか?なら隠す必要ないですよ。そのほうがきっと会長だって嬉しい筈です」
「………そらそら」
「はい」
「俺、淋しい。ぬいぬいが卒業しちゃうの。かなしい。四人でいられなくなるのがとってもくるしい」
「……僕もです」
「でも、だから。強くなるよ。もっともっと。そうしてぬいぬいに褒めてもらえるように。何時までも後ろを付いて回るだけじゃなくて。胸を張って隣に並べるように」
「……そうですね」
「そうしたらあの子もぬいぬいやめて俺のとこ来てくれるかも!」
「……それはないと思いますよ」





◎次もきみの隣でわらえるように。




002-いなくても平気なんだから/天羽翼
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