ふと窓の外を見ると、特徴的な亜麻色の髪が風に揺られていた。あの子が笑う度、きらきらと光が踊るように見えて思わず目を細める。(きみに会うために帰ってきたのになあ)あの子の隣には若草色の瞳を持った男が立っている。その白くて長い指が亜麻色に触れて、だからまたあのこは嬉しそうにわらうのだ。クラスメイトにも幼なじみにも、勿論自分にだって見せないような、柔らかい笑顔。知っている。その笑顔の理由を。知っている。その笑顔の原因を。だってずっとあの子しか見ていないのだから。(    )口にしようとした言葉は音にならずに消えた。もしかしたらそれでよかったのかもしれなかった。その代わりに別の言葉を唇に乗せる。陳腐で有り触れていてけれども紛れも無く自分の本心だった。あの子が笑顔でいられるのは彼の隣。赤茶けた髪の自分ではない、この学園の支配者の隣なのだ。
若草色の瞳が柔らかく笑うのを見届けてから静かに瞼を下ろす。きっと彼なら大丈夫だから。






◎きみがしあわせになりますように。





001-あの子はあげません/土萌羊
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -