とあるよく晴れた日のこと。お千は千鶴に会いに新選組を訪れていた。久し振りに会った友人を前にして話に花が咲かないわけもなく、気付けば二人きり長々と話し込んでしまっていた。

「で、千鶴ちゃん」

「なあに、お千ちゃん」

改まった口調になるお千に千鶴はきょとんとする。対照的にお千の瞳をキラキラと輝かせた。

その瞳に何だか嫌な予感がした千鶴は逃げだそうとするがそれはお千の言葉によって遮られる。

「千鶴ちゃんって沖田さんのこと、好きなの?」

「……は!?」

「だってさっきから沖田さんの話しかしないんだもの。ねぇ、どうなの?」

「ど、どうって……!!」

目に見えて狼狽える千鶴。これは口にはしなくとも認めているのと同じで。お千が追求の手を止めずにいると、渋々という様に千鶴はぽつりぽつりと言葉を零し始めた。顔を林檎のように赤く染めたまま。

「その、沖田さんのことは、あの、好きっていうか、その……。でも私の片思いだし、叶わないって知ってるから……」

「片思い?そうかしら」

「だって沖田さん、意地悪ばかりしてくるの。私のこと嫌いじゃなかったらそんなことしないよ……」

「千鶴ちゃん、それは、」

沖田さんは愛情表現が下手なのよ、そう言いかけて止める。襖の向こうに見知った気配を感じたからだ。

「千鶴ちゃん、ちょっといい?」

「え、沖田さん!?」

「うん。ちょっといいかな」

僅かに開いた襖の向こうから覗くのは綺麗な翡翠色。その翡翠色に宿る光は……。

「ごめん、お千ちゃん。ちょっと行ってくるね」

「あ、長々お話しちゃってごめんなさい」

「ううん。私も楽しかったよ。有難う。また後でね!!」

襖を開け沖田へと駆け寄っていく千鶴を見つめながらお千は小さく零した。

あの瞳に宿る温かく優しい光。あの光をお千は知っている。対象を誰よりも想うときにしか宿らないその光。その光は千鶴にもそして沖田にも宿っていて、だから……ーー。







「なんだ。結局両想いじゃない」















090525/有海

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千姫+沖千とのことでしたが如何でしょうか…!!千姫視点は久し振りだったので楽しかったです。

それでは企画への御参加有難う御座いました!!
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