私の学校の国語の先生、沖田総司先生はその整った顔立ちから生徒たちに大人気だ。

「沖田先生、これ食べて下さい―っ」

「あ、私も私も!!沖田先生、はい!!」

沖田先生……総司さんと所謂恋人という関係になったといえとも、そこは所詮生徒と先生だ。周囲にはバレては大変なことになるから、この関係はまだ誰にも言えていない。

まだ聞こえる声を聞きたくなくて私は窓から外の景色を眺める。胸のモヤモヤには気付かない降りをした。

と、

「なに、拗ねてるの千鶴ちゃん」

「……!?おっ、沖田先生?!」

声に慌てて隣を見ると総司さんは悪戯っぽく笑って私を見つめていた。その表情に少し悔しくなってワザとそっぽを向く。

「沖田先生は向こうで仲良くしてきたらいいじゃないですか」

「あ、千鶴ちゃん嫉妬してくれたんだ?」

「し……!?嫉妬なんて……?!」

勢い良く総司さんの方を向けば、ニヤニヤ笑いが目に入る。どうやら私は総司さんの策略に嵌ってしまったらしい。

総司さんを頬が赤くなるのを自覚しながら睨み付けると、優しい笑顔を返された。そうして総司さんはそのまま視線を外に向ける。

「月が綺麗だね、千鶴ちゃん」

「……?月なんて出てないですよ?」

「分からないならいいんだ」

「……?」





















090523/有海

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