後ろから包みこんでくる温もりにそっと頬を寄せると、くすくすと小さな笑い声。何だか気恥ずかしくて顔に熱が昇るのが分かったけれど、敢えてそのまま目を瞑った。











あの画面の向こうでの一騒動の後、意味深な言葉を残したまま総司さんは画面から姿を消した。何が何だか分からないぐちゃぐちゃの思考のまま呆けていると、連打されるチャイムの音。流石に無視できずに扉の鍵を開けた。一言嫌みでも言ってやろうと思いながら。

「チャイムは連打しないでくださ…」

「千鶴」

「そ、総司さん?!」

立っていたのは先程まで画面の向こうに居た愛しい人。慌てて部屋に招き入れる。

聞きたいことは山程あった。でもぐちゃぐちゃの思考ではうまく纏まらない。そんな私を見抜いたのか、総司さんは本当に、本当に優しい笑顔を浮かべてゆっくりと抱きしめてくれた。

「不安にさせてごめん…好きだよ、千鶴。僕が愛してるのは君だけだから。ねぇ信じてくれる?」

卑怯だ。こんな風に言われたら恨み言の一つも言えやしない。

「…しょうがないから信じてあげます!!」

恨み言の代わりに強く抱き締め返す。温かい雫が頬を伝った。















「今日の千鶴は甘えたさんだね」

未だにくすくす笑いを止めない総司さんに少しむっとする。「悪いですか」

「全然?寧ろ嬉しいかな」

「……もう」

「あははは。やっぱり千鶴は可愛いね」

「やっぱりって何ですかやっぱりって…」

















090706/有海

もと様へ。企画おまけ(二話目)になります。遅くなって大変申し訳ありませんでした…!!
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