※死ネタです。





震える腕を伸ばす。温度という幻想を夢みて。
触れた頬は冷たくて、握った手は力が入っていないのか柔らかくて、声は届かなくて、もう二度とその瞳に私を映してくれることはなくて、彼はもう抜け殻で、

永遠にお別れなのだとはどうしても、どうしても認めたくない。

苦しいって言ってください。何度も寂しいって言ってください。私が必ず迎えにいきますから。
行かないでください、何処へも。優しい優しい思い出だけ遺していかないでください。
「私は…ずっと…貴方の傍にいるって…そう言ったじゃないですか…!!」
冷たい体をどんなに抱き締めても貴方に温度が移ることはなくて。生温い赤だけが私を染めていく。
何度だって名前を呼びますからどうかもう一度笑ってください。あの意地悪な笑顔で構いませんからどうか。
「おき…た…さんっ……!!」
叶うことなら私のすべてを奪い去って愛おしいあの人に与えてください。私には何にも残らなくて構いませんから。
貴方がいない世界に取り残されてしまうくらいなら私はその場で朽ちていきたい。


あぁ、このまま貴方と溶け合ってしまえたらいいのに。



090125/有海
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