※れもんのはつこいの続きみたいな感じです。



巡察から帰ってくると、左之さんが一番に出迎えてくれた。土方さんに(大変気に入らないことに)報告があるらしい千鶴ちゃんは先に土方さんの部屋へ向かってしまった。

「よう、お疲れさん」

それになおざりな返事を返して自分の部屋に向かう。さっさと着替えて千鶴ちゃんと土方さんの邪魔をしに行こう。

そんなことを考えていた矢先。

「なあ、総司」

「……何左之さん。まだ何かあるの」

「おいおいそんな殺気飛ばすなよ!!」

僕としては一刻も早く千鶴ちゃんの所へ行きたいわけで、こんな所で時間を無駄にしている場合ではないのに。

そんな思いを込めて左之さんを睨み付ける。左之さんは困ったように笑った。

「お前、気付いてやったか?」

「…何を?」

きょとんと問い返す。左之さんは小さく溜め息を吐いた。

「ったく…」

「何で左之さんに溜め息吐かれなきゃならないの」

「だってなあ?お前…」

呆れて物も言えない、という仕草をされると思わず斬ってしまいたくなるがそこはなんとか思いとどまる。それに僕は左之さんの言いたいことが分かった。

千鶴ちゃんをからかっていいのも千鶴ちゃんを可愛くしていいのも全部全部僕だけに許された特権だ。だから…。

「左之さん、」

「……ん、何だよ」

「僕的には千鶴ちゃんは薄い紅色も似合うと思うんだ。ねぇ左之さんはどう思う?」

「総司…お前…」

「千鶴ちゃんって最近凄く可愛いよね。僕のために頑張ってくれてるのも凄く凄く可愛いし」

「……だったら言ってやれよ」

「え―、言っちゃったらつまらないじゃない。それに」

一端言葉を区切ると左之さんが怪訝そうな顔をする。そんな左之さんに僕は(僕なりの)満面の笑みで続けた。

「それに言わない方が千鶴ちゃんはもっと努力してくれるかなあってね」

















090502/有海

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