※会話文体です。



「こんにちはー。お兄さんこの辺じゃ見掛けない顔ですね……え、尋ねたいこと?何でしょう?俺に答えられることならいいんですが…。
……人形師?あぁ土方さんのことですか。土方さんの作る人形は確かに凄いですよ。人形なのか人間なのかよく分からないくらいで……いやリアルとかそういう問題じゃないんです。動くし喋るんですよ!!あれには一体どんな仕掛けがあるのか…。
……まぁ確かに傷付いたりしても直しゃいいですしね。死ぬ、とかはないんじゃないですか。人形ですから……ってどうしてこんなこと聞くんです?……企業秘密ですかそうですか。別に気にしていませんがね。
……土方さんについて?何でそんなに土方さんについて知りたいんです……ってお兄さんも土方さんのファンなんですか?大丈夫ですよ引いたりしませんから…あぁ違うんですか。すいません。
土方さんっていや、この村じゃちょっとしたアイドルでしてね。これがまた妬ましいくらい格好良いんですよ。俺の姉もその土方さんの大ファンでして。でも土方さんには恋人……なのかなあれは。奥さんみたいな人がいましたから意味ないんですけどねぇ。
二人ですか?見ているこっちが恥ずかしいくらいですよ。二人の世界って感じで。相思相愛のを具現化したのがあの二人って言っても過言じゃありません。あー俺もあんな可愛い嫁さん欲しいなー。
……その女性に会いたい?あぁそれは無理ですよお兄さん。ガードが厳しいとかじゃなくて……その女性、千鶴さんって言うんですが、もう亡くなってるんですよ。三年位前に病を患ってね。惜しい人を亡くしたと思います。明るくて優しくて、村の太陽みたいな人でした。土方さんにバレないように言い寄ってた奴もいるくらいなんですよ。……いやぁ、何の病かまでは知りませんよ流石に。
葬儀は土方さんの希望で村全体で執り行いましたし…葬儀で驚いたことと言えば土方さんが自分の作品、つまり人形を全部燃やしちゃったってことくらいですかね。勿体無いとは思いましたけど、ほら思い出ばかりで辛かったんじゃないですか、土方さんも。
………これは戯れ言だと流して下さって結構なんですが、お兄さんは幽霊って信じます?……あぁ信じない。現実的でいらっしゃる。いやぁね、最近俺の友達が千鶴さんを見たって言ってまして。そいつは千鶴さんのことを密かに慕ってた奴でしたから最初は流してたんですが、他にも見た奴がいまして……幽霊なんでしょうかねぇ。
え?今何て仰ったんですか?千鶴さんが人形?まさか。土方さんは人形を全部燃やしちゃったんですよ。それに土方さんはそんな事するような人じゃないと思いますが。千鶴さんそっくりな人形を作るなんて。
…………土方さんの家ですか?あそこの赤い屋根の家ですよ。でも行っても無駄だと思います。土方さんここ一ヶ月半くらい村から出てるみたいですから。言伝だったら隣の、あの青い屋根の家の男に頼むといいですよ。何だかんだ言って仲がいいんですあの二人。
…………いえいえ、お役にたてたようで何よりです。
……………!!
いっいや、何でもありませ……!!
…………あの失礼ですが、お兄さんってもしかして王国の軍の……、
いっ言いません言いません!!言いませんからその命だけは、銃を降ろして、すいません、忘れますから、やっやめ、うわぁあぁぁあぁ………!!……………………………………………………………………………………………………………………………………………」




090404/有海
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